「子どもたちの遺体を見るのはつらい」──ウクライナ ロシア軍が住宅地に攻撃
2024年11月22日ウクライナ北東部スーミで11月17日夜、住宅地がロシア軍による攻撃を受けた。住宅に囲まれた中庭で爆発が起こり、13の建物と数十棟のアパートが損壊した。
地元当局からの初期情報によると、子ども11人を含む84人が負傷し、11人が死亡。死者には9歳と14歳の男女の子どもも含まれる。国境なき医師団(MSF)の救急チームは、負傷した住民に医療支援を行った。
激しく燃え上がる火の中で
「子どもたちの遺体を見るのはつらいものです」
MSFの救急医、ハンナ・スシュキナはそう話し、続けた。
「私たちのチームが到着したとき、子どもたちの遺体はすでに燃え盛る建物から運び出されていました。救急車の長い列ができており、近くの建物の窓ガラスは粉々に砕け散り、火は激しく燃え上がっていました」
MSFの救急医、ハンナ・スシュキナはそう話し、続けた。
「私たちのチームが到着したとき、子どもたちの遺体はすでに燃え盛る建物から運び出されていました。救急車の長い列ができており、近くの建物の窓ガラスは粉々に砕け散り、火は激しく燃え上がっていました」
救急隊員が、負傷者や死者を運び出しながら、消火作業にあたっていました。
ハンナ・スシュキナ MSFの救急医
MSFのチームは、軟部組織の負傷を含む、けがを負った4人の住民を治療した。「ある患者は攻撃のあった際、ソファに座っていたと話していました。粉々になったガラスで切り傷を負い、多くの人が急性ストレス反応と見当識障害を経験していました」とスシュキナは説明する。
継続的な攻撃で、医療活動も困難に
攻撃により一帯は一時、停電となった。救急隊は投光器を使い、暗闇の中で作業を続行。また、MSFが現場にいる間に2回目の攻撃があったため、MSFは患者を近くの避難所に移し治療を続けた。
「こうした攻撃への対応は困難を極めます。継続的な砲撃、あるいは「ダブルタップ」攻撃(最初の攻撃を行った後、負傷者を助けるために救急隊員などが集まったところを狙い、再び攻撃を行う手法)は医療従事者を危険にさらし、対応時間を遅らせ、緊急事態に不可欠な医療を制限することになります」
そう、MSFのウクライナにおけるチーフ緊急コーディネーターのトーマス・マルシェは話す。
スーミの人道状況は悪化
北と東でロシアと国境を接するスーミ州では、人道状況の悪化が深刻だ。* 8月と9月に状況は著しく悪化し、攻撃が急増した。9月にスーミで発生した攻撃の数は、過去12カ月と比較して141%増加している。
戦争が激化した当初、コノトップやトロスティアネツを含む同州の街はロシア軍に一時的に占領された。これらの地域は2022年4月初めにウクライナの支配下に戻った。しかし、最前線に近いため、人びとは重要なインフラへの攻撃に毎日耐え続けている。
*国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告による
ウクライナ北東部スーミにおけるMSFの活動
MSFはこの地域がウクライナに奪還されて以来、スーミのコミュニティを支援してきた。人びとへ心のケアや早期のリハビリを提供し、そこにはトロスティアネツの病院での活動も含まれる。2024年3月、MSFは、医療支援を行う際の重要なパートナーであったこの病院への攻撃を非難している。
また、2024年10月からはスーミで救急車プロジェクトを開始。ミサイルの攻撃を受けた際に救急車チームが医療を提供しながら、ウクライナ全土の医療施設に患者を移送している。わずか2カ月間で、MSFのチームはスーミからキーウやチェルニヒウ、ジトーミルなどの街に150人以上の患者を搬送した。これらの患者のほとんどは、集中治療が必要だった。