ウクライナ、戦闘の被害を最も受けた地域へ援助を

2022年03月04日
ポーランドへ逃れる人びとであふれる、ウクライナ西部の都市リビウの駅=2022年2月27日 © Emin Ozmen/Magnum Photos
ポーランドへ逃れる人びとであふれる、ウクライナ西部の都市リビウの駅=2022年2月27日 © Emin Ozmen/Magnum Photos
ウクライナ緊急対応副責任者<br> ベレンジェール・ゲ <br> © Aurelie Baumel
ウクライナ緊急対応副責任者
ベレンジェール・ゲ 
© Aurelie Baumel
戦闘による死傷者が増え続けているウクライナ。すでに105万人を超える人びとが国外に避難した(国連難民高等弁務官事務所、3月2日)。国境なき医師団(MSF)は、ロシアの軍事作戦により最も大きな被害を受けた地域に援助を届けるべく活動を進めている。

パリでウクライナの緊急対応副責任者を務めるベレンジェール・ゲに、現状と直面する課題について聞いた。
QMSFはどのようにウクライナで活動を進めているのですか?

MSFは長年にわたってウクライナで活動し、結核やHIVに感染した人びとのケアを行ってきました。そのため、現地スタッフと外国人スタッフが既に現地にいます。今回の危機を受け、私たちはこれまでの活動をやむなく一時中断するとともに、大規模な軍事作戦により生じる医療ニーズに対応すべく、日常的な医療活動から緊急援助活動へのシフトを進めています。

最も戦闘の被害が大きかった地域で、医療が必要な人びとのケアに当たれるよう、緊急対応の専門チームを現地に送ることが急務です。

Qいま最大の課題は?

現在、最も重要な課題は、戦闘で特に大きな被害を受けている地域にどこから入るかということです。現地入り地点を見極める必要があります。2月28日以降、ポーランド、モルドバ、ルーマニア、ロシア、ベラルーシなど、近隣諸国の全てでチームを編成しました。ウクライナの国境は、100万人以上が戦闘から逃れ混沌の中にあり、どの国境通過点から入国するのが最善なのかを判断するのは非常に難しい状況です。

既に現地にいるスタッフに加え、外科医などのスタッフと機材をできるだけ早くウクライナに入れられるよう調整しています。

命を救う活動を、どうぞご支援ください。

寄付をする

 ※国境なき医師団への寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。

※「緊急チーム募金」は、世界各地で緊急事態に対応している「緊急チーム」の活動に使途を指定し、専門チームを支えていただく寄付です。「緊急チーム募金」は特定の国・地域・活動に使途を限定するものではなく、「緊急チーム」の年間予算の一部として活動全般に活用させていただきます。

Q機材や医薬品はどのように運ぶのですか?

医療機器や医薬品キットは、MSFがブリュッセルやボルドーに持つ物流拠点から、近隣諸国を経由してウクライナに運び入れます。また、ポーランドでも物資を調達し、物資不足に陥っている現地の団体に提供していきます。

ウクライナ国内では西部に倉庫を設置しており、今後の状況に応じて他の地域にも設置して物資の供給態勢を拡大していきます。

ベルギー・ブリュッセルの倉庫からウクライナに出荷する物資 © MSF
ベルギー・ブリュッセルの倉庫からウクライナに出荷する物資 © MSF
Q現場のニーズをどのように把握しているのですか?

戦闘地域の動きは速く、1時間単位で変化しています。軍事作戦を行っている側の動静をよく理解し、ニーズを見極めています。これはチームを危険にさらさないためにも重要なことです。首都キエフをはじめ、西部のジトーミル、東部ルハンスク州セベロドネツクなどの主要都市にMSFのスタッフがいます。

また、国内各地にある病院や診療所の医療従事者のネットワークにより、ニーズの把握に着手しているところです。適切な医療対応を行うために、負傷者の人数や状況、現地の治療体制に関する情報を集めています。

Q国境を越えて避難してきた人びとにはどのような支援をしていますか?

ポーランドの受け入れ施設には必要な物資を既に提供し、対応の拡大に取り組んでいます。医療援助の展開や、毛布や衛生用品キットの配布も増やしていく予定です。

しかし、既に現地と国際社会はさまざまな支援を行っているので、当面のニーズは満たされていると言えます。そのため、私たちはウクライナにおける負傷者のケアを優先しています。

命を救う活動を、どうぞご支援ください。

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※国境なき医師団への寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。
※「緊急チーム募金」は、世界各地で緊急事態に対応している「緊急チーム」の活動に使途を指定し、専門チームを支えていただく寄付です。「緊急チーム募金」は特定の国・地域・活動に使途を限定するものではなく、「緊急チーム」の年間予算の一部として活動全般に活用させていただきます。 

ポーランド南東部の国境の町で夜を過ごすウクライナの人びと=2022年3月1日 © Maciej Moskwa
ポーランド南東部の国境の町で夜を過ごすウクライナの人びと=2022年3月1日 © Maciej Moskwa

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