「学校に行きたい……」少年は家計を支えるため 銃弾が貫いた両脚で働きに出る

2018年10月11日掲載

リハビリに訪れた父子。イスラエル軍の発砲で息子は膝を損傷、父親は親指を切断したリハビリに訪れた父子。イスラエル軍の発砲で息子は膝を損傷、父親は親指を切断した

「なぜデモを見に行ったか?友達と遊びに行っただけです。危険だとは知らなかった」。中東パレスチナ・ガザ地区に暮らすモハメド君(12歳)はこう振り返る。

今年3月30日以降、イスラエルとガザを隔てる境界フェンス付近でパレスチナ難民の帰還を求めるデモが始まり、数万人のガザ住民が行進。イスラエル軍が発砲し、これまでに5000人を超える負傷者が出た。国境なき医師団(MSF)に運び込まれた患者の多くが18歳未満の若者で、最年少はわずか7歳だった。

フェンス付近にいたモハメド君は両脚に被弾。1発が右脚を、もう1発が左の太ももを貫通した。 

「あまりにもかわいそう」12時間以上の労働、パニック発作も

経済的な理由で学校に行けないというモハメド君。封鎖の影響で、ガザ住民の多くが困窮している経済的な理由で学校に行けないというモハメド君。封鎖の影響で、ガザ住民の多くが困窮している

モハメド君の母親は当時の状況をこう語る。「けがをしたと聞いて、飛んで行きました。1カ月間の入院中、つきっきりで介抱したんです」。

MSFの術後ケア施設を訪れたモハメド君MSFの術後ケア施設を訪れたモハメド君

「我が家には、10歳から16歳までの息子が5人います。お金に余裕がないので、夫はモハメドにも働いて家計を支えてほしいと思っています。退院して1週間も経つと、夫はモハメドに『働きに出ろ』と急かしました。市場で売れるものを集めるんです。

息子のつらい気持ちがよく分かります。働きに出る日は、12時間以上出ずっぱり。休養することも、治療に行くこともできません。学校にも行けずにいます。夜はパニック発作でよく眠れないんです。あまりにもかわいそうです」

「傷は治ってきています。神様のおかげです」と喜ぶモハメド君。現在、MSFの診療所で週3回リハビリ治療を受けている。ここに来るのが楽しみなのだという。「看護師さんたちに助けてもらったから、僕も大人になったら看護師になりたい。せめて学校に行けたらいいのに……そうできたらすごく嬉しいです」。 

イスラエルとパレスチナの緊張関係が最も高まった4~5月と比べ情勢は落ち着いているものの、今なお毎週デモが行われ、実弾によって負傷するガザ住民が後を絶たない。10月5日には新たな衝突が発生し、3人が死亡、126人が負傷した。MSFは負傷者の治療にあたるほか、術後ケアにも取り組んでいる。 

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