安否わからない住民も・・・ボコ・ハラムの襲撃で町が廃墟に 緊急援助続く

2019年04月24日掲載

避難民キャンプに身を寄せる一家 © Damaris Giuliana/MSF避難民キャンプに身を寄せる一家 © Damaris Giuliana/MSF

少女たちの誘拐や残忍な暴力が報じられている武装勢力「ボコ・ハラム」。ナイジェリア北部を拠点に町を襲撃し、多くの人びとが襲われ家を追われるなど、不安定な情勢が続いている。国境なき医師団(MSF)は避難した人びとに医療を届けるため、緊急援助を展開している。ナイジェリアを担当する国境なき医師団(MSF)オペレーション・マネジャー、ギョーム・バレが北東部の現状を報告する。 

町から住民が消えた

ランの町が襲撃を受け、カメルーンへ逃げる人びと(2019年1月撮影) © Silas Adamou/MSFランの町が襲撃を受け、カメルーンへ逃げる人びと(2019年1月撮影) © Silas Adamou/MSF

ナイジェリア北東部、ボルノ州の安全状況はかなり緊迫していて、ここ数ヵ月は悪化しているのが実情です。2018年半ばにボコ・ハラムの襲撃が増え、主にニジェールとカメルーンの国境付近でナイジェリア軍の統制する町が攻撃されています。2018年12月には、チャド湖畔の大漁港の町バガで攻撃がありました。バガは多国籍連合軍の拠点で、ナイジェリアのほか、ベナン、カメルーン、ニジェール、チャドの編成部隊がボコ・ハラム掃討を任じられていました。

ボコ・ハラムはバガを掌握すると、モングノ近郊まで侵出し、2019年1月末にはカメルーン国境に近いランの町を襲いました。何十人も殺害され、多くの建物が灰になりました。バカもランも、住民が消えてもぬけの殻です。さらに最近は、グウォザとプルカも攻撃されています。  

MSFはマイドゥグリやモングノなどで緊急援助を立ち上げた © Junaid Khan/MSFMSFはマイドゥグリやモングノなどで緊急援助を立ち上げた © Junaid Khan/MSF

ボルノ州の州都マイドゥグリの郊外でも襲撃があり、人びとがマイドゥグリ市内に避難しています。1月には約3万人がバマなど近郊の町から逃げて来ました。過密状態のキャンプに居場所を見つけた人もいれば、地元の家庭に受け入れられた人もいます。新たに逃げてきた人びとはなかなか援助を受けられずにいるようです。

マイドゥグリでは、数年前から多くの人道団体が援助を提供しています。MSFはマイドゥグリと、ほかにもモングノ、プルカ、グウォザ、ンガラ、ダマトゥルで活動しています。NGOが援助を提供できるのは軍の統制下にある町で、ヘリコプター使って空路で入るか、軍の護衛を伴って陸路で入れる地域だけです。モングノは護衛が必要ありませんが、あくまでも例外です。MSFは今年初め、避難してきた人を援助するため緊急活動を立ち上げました。  

避難民キャンプに身を寄せる人びと

多くの人がバマの避難民キャンプに身を寄せている © Natacha Buhler/MSF多くの人がバマの避難民キャンプに身を寄せている © Natacha Buhler/MSF

MSFが緊急援助に乗り出した町のひとつに、バマという町があります。この町は2014年に武装勢力の手に落ちる以前は人口40万人の交易都市でした。2015年に軍が奪還したものの、MSFが初めて現地入りした2016年までは廃虚で、1つの避難民キャンプに1万5000人近くが身を寄せ、多くの子どもが重度栄養失調になっていて、壊滅的な状況が報告されていました。

バマの町は今、一部が再建され、マイドゥグリに避難していた人も一部は戻っており、7万人ほどの帰還者がいるとみられます。一方で、避難民キャンプにはまだ約1万2000人が滞在しています。2018年は、人道援助の届かない低木地帯からバマにきた人もいて、健康状態はよくありませんでした。彼らは、治安の悪化とハンガーギャップ(※)の到来で耕作ができなくなるまで村にとどまっていたらしいのです。バマでは病院が閉鎖されたままだったため、8月にMSFが子どもの治療を目的とした35床の病院を開設しました。10月にハンガーギャップが終わると、バマまで逃げてくる人の数は減りました。

※ 収穫期の狭間で備蓄食糧が不足する時期、またはそのために起こる飢餓。

バマの避難住民は半径5km以内であれば市外に出ることを許されています。軍も市内に基地を置いて、周辺に安全地帯を確保し、人びとが土地を耕したり、木を集めたりできるように努めています。しかし、町に続く道沿いにある軍の駐屯所はたびたび襲撃を受けています。  

へき地にも医療を届けるために

マイドゥグリで避難民を診察するMSFスタッフ © Junaid Khan/MSFマイドゥグリで避難民を診察するMSFスタッフ © Junaid Khan/MSF

襲撃を逃れるため低木ややぶの中に隠れている人や、へき地に住む人の健康状態を確認し、援助できるようにする必要があります。しかし、そういった地域に立ち入れなければ、ニーズの調査もしようがありません。軍が駐留していない地域の住民については、状況が何もわかりません。

MSFでは、巡回チームの拠点を北の隣国ニジェールのディファ県に置き、地域担当者の協力を得ながら、ナイジェリアのヨベ州カナマの町まで医療を届けています。ナイジェリア軍の掌握していないへき地で、課題も国境の向こうのニジェールとおおよそ同じです。保健医療体制が崩壊しており、MSFはマラリア、栄養失調、はしかなどの、以前からよく見られる病気を治療しています。これらは、避難者にとっていっそう深刻になる病気です。  

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