ハイチ:深刻な物資不足を受け、ジャンボ機で80トンの物資を搬入 継続的な輸送路の確保を訴え
2024年07月16日ハイチでは今年3月に暴力が激化。首都ポルトープランスにある国際空港が閉鎖され、その後3カ月ほど医薬品などの物資を届けることができず、MSFも活動の継続が脅かされていた。
日本人ロジスティシャンが参加
ハイチで多くの病院が閉じている中、今回の輸送で医療活動の継続につなげられたのです。
ロジスティシャン(サプライ・マネジャー) 堀正貴
シテ・ソレイユにあるMSFの総合病院では、医薬品不足のため4月には外来診察の半数削減を余儀なくされ、入院部門の開設も延期せざるを得なかった。しかし医療物資が届いたおかげで、病院の収容能力は通常に戻り、小児用15床を含む25床の入院ベッドを設置することができた。
続く物資不足
これらの物資は、緊急の需要を満たすものではあるが、MSFが活動する医療施設のすべてのニーズを満たすにはまだ足りないのが現状だ。
「ここ数週間、私たちの医療施設は深刻な物資不足に陥っており、患者の診療を中断せざるを得ないほどでした」とMSFのハイチ活動責任者ムムザ・ムヒンド・ムスバホは語る。
「今回の医薬品や医療物資の到着は大きな救いですが、完全な在庫切れを避けることができたに過ぎません。私たちは引き続き細心の注意を払い、医療活動を確実に継続し、より多くの患者を治療できるよう、新たな配送の手配に取り組んでいます」
物資の確保に大きな懸念 継続的な供給を訴え
ここ数カ月、ポルトープランスを襲った暴力の激化により、首都圏の医療体制は依然として深刻な影響を受けている。5月には30の病院と診療所が閉鎖された。機能的な施設が残ってはいるものの、大多数の市民は潜在的な治安の悪さを警戒し、訪れることができない。
緊急援助を必要としている人びとへ円滑に医療物資を配送するよう、各方面に呼び掛けてから1カ月──すべての関係者の努力により、この配送が実現した。
「これだけ複雑な状況の中でも、MSFチームと公的機関および税関当局が、顕密で貴重な協力関係を築くことができた結果です」とムスバホは言う。
「人びとの医療アクセスを確保するため、あらゆる医療機関・組織からの物資の受け渡しや輸送を引き続き促進していくよう、関係者に呼びかけています」
ポルトープランスでは、情勢不安と医療アクセスの低下により、医療と人道援助のニーズが増え続けている。2024年3月から5月の間、MSFは2万1707件の診察を実施し、銃創患者1128人、交通事故被害者1337人を含む8449人の緊急対応を行った。また、タバル病院では重度のやけどで入院した81人の患者の治療にあたった。
現在の緊急事態において、医療施設への物資供給はMSFにとって依然として大きな懸念事項だ。MSFは物資の安全な輸送を保証し、医療従事者を保護するようすべての関係者に訴える。