イエメン: MSF支援先病院への空爆、犠牲者は14人に

2016年08月17日

イエメン・ハッジャ県で国境なき医師団(MSF)が支援していたアブス病院が空爆された問題で、入院治療を受けていた5人のうち3人が亡くなった。この空爆では直撃を受けた9人と、他病院への搬送中に2人が亡くなっており、犠牲者は計14人となった。この中にはMSFスタッフのアブドゥル・カリーム・アル・ハキーミも含まれている。

また、負傷者も新たに5人が確認され、計24人となった。MSFは負傷者が地域内の複数の医療施設に搬送されたことを確認しており、各患者の容体の把握を急いでいる。

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アブス病院は閉鎖、MSF独自調査へ

アブス病院は地域医療の中核で、空爆当時も大勢の患者がいた。術後の回復を待つ入院患者、産科を受診していた母親と新生児、小児科にいた子どもなどだ。空爆被害後、MSFは患者とスタッフをすべて避難させた。アブス病院は現在、一時閉鎖されている。

イエメンでMSFの活動責任者を務めるフアン・プリエトは「医療が最も必要とされている紛争時であるにも関わらず、地域の住民たちは医療を受けられなくなったのです」と話す。MSFは被害の全容について把握を進めており、空爆の原因についても独自に調査を始める予定だ。

再発防止策の実態を示せ

爆撃されたアブス病院の内部 爆撃されたアブス病院の内部

イエメンでは過去1年だけでも病院への空爆が繰り返されており、MSFが支援している病院への攻撃は今回が4度目となった。MSFの緊急対応ユニットのマネージャー、テレサ・サンクリストバルは「病院が攻撃されるたびに、紛争当事者は再発防止を約束しています。しかし、口先だけのやりとりも、社交辞令も、できもしない約束もいりません。医療施設、患者、スタッフへの空爆はしないという意志と、その取り組みの証拠を示してほしいのです」と訴える。

さらに、サンクリストバルは「病院への空爆がまた起きたということは、有効な対策がとられていないことを意味しています」と指摘する。MSFはイエメン国内にある全医療施設について、そのGPS座標と関連情報を全ての紛争当事者と共有している。それにもかかわらず、空爆は4度も繰り返されているからだ。

「現行の軍事計画によって『誤爆』が起きたと主張するなら、計画を変えるべきです。その計画が、地域の医療施設を破壊し、患者とスタッフを殺害しているからです」

アブス病院はハッジャ県西部の基幹病院だった。この施設ではMSFが2015年7月に支援を始めて以降、4611人の患者が治療を受けていた。病院は、救急処置室(14床)、産科、外科を備えていた。過去数週間、負傷者の来院が増えており、その大半は地域で最近起きた武力衝突と空爆の被害者だった。空爆された当時、院内には外科に患者23人、産科に患者25人(新生児13人を含む)、小児科に患者12人がいた。

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