プレスリリース
「窒息状態」にされたガザ──イスラエルは援助を軍事の道具にしてはならない
2025年05月22日
2カ月以上にわたって援助物資の搬入が止められた、パレスチナ・ガザ地区。イスラエルはわずかな量の物資搬入を許可したが、それは封鎖が解除されたと見せかけるためのカムフラージュに過ぎない。
イスラエル軍の地上作戦と空爆の激化、そして広範囲に出された退避要求により、ガザでは少なくとも20カ所の医療施設が被害を受けたり機能不全に陥ったりしている。
ガザの人びとが医療と援助を切実に求める中、イスラエル当局は意図的にガザを窒息状態にし、医療体制を破壊。それらは民族浄化作戦の基盤となっている。国境なき医師団(MSF)は、これらの行為を止めるよう訴える。
ガザの人びとが医療と援助を切実に求める中、イスラエル当局は意図的にガザを窒息状態にし、医療体制を破壊。それらは民族浄化作戦の基盤となっている。国境なき医師団(MSF)は、これらの行為を止めるよう訴える。
軍事のための道具として使われる援助
ハンユニスのMSF緊急対応コーディネーター、パスカル・コワサールはこう話す。
「数カ月間も厳しく封鎖した後にわずかな量の援助物資を許可するというイスラエル当局の決定は、ガザの人びとを飢餓に追いやっているという非難をかわしつつ、実際には相手を死の淵で生かしておくという意図の表れです」
「数カ月間も厳しく封鎖した後にわずかな量の援助物資を許可するというイスラエル当局の決定は、ガザの人びとを飢餓に追いやっているという非難をかわしつつ、実際には相手を死の淵で生かしておくという意図の表れです」
この計画は、援助をイスラエルの軍事目的のための道具として利用するものです。
MSF緊急対応コーディネーター パスカル・コワサール
国連によると、2023年10月以前は援助物資を積んだトラックが毎日500台ガザに入っていた。現在許可された1日100台という数は、この切迫した状況ではまったく不十分だ。
度重なる病院への攻撃
人びとは退避要求によって移動を余儀なくされ続け、イスラエル軍は医療施設への激しい攻撃を続けている。
5月19日の朝6時から6時半にかけて、ハンユニスで1分ごとに攻撃音が聞こえたとMSFのチームは伝えている。うち1発はナセル病院の敷地に命中し、その場所はMSFが運営する集中治療室と入院病棟から100メートルほどの距離だった。
ナセル病院が攻撃を受けたのはこの2カ月間において3度目で、人びとは再び治療やケアを受けられなくなった。危険を避けるため、MSFは外来部門と、手術待ちや手術後の患者が休む安静室を一時的に閉鎖し、子どもが大半を占める熱傷患者に不可欠な理学療法や心のケアの活動も中断せざるを得なくなった。
この攻撃では、ナセル病院にある保健省管轄の薬局の倉庫も大きな被害を受けた。封鎖により医療物資が著しく不足する中、この事態は物資の供給をさらに厳しいものにしている。
5月19日の朝6時から6時半にかけて、ハンユニスで1分ごとに攻撃音が聞こえたとMSFのチームは伝えている。うち1発はナセル病院の敷地に命中し、その場所はMSFが運営する集中治療室と入院病棟から100メートルほどの距離だった。
ナセル病院が攻撃を受けたのはこの2カ月間において3度目で、人びとは再び治療やケアを受けられなくなった。危険を避けるため、MSFは外来部門と、手術待ちや手術後の患者が休む安静室を一時的に閉鎖し、子どもが大半を占める熱傷患者に不可欠な理学療法や心のケアの活動も中断せざるを得なくなった。
この攻撃では、ナセル病院にある保健省管轄の薬局の倉庫も大きな被害を受けた。封鎖により医療物資が著しく不足する中、この事態は物資の供給をさらに厳しいものにしている。

医療の提供が困難に
イスラエル軍は地上作戦の拡大の一環として、広範囲に退避要求を出した。それにより人びとはさらに医療を受けづらくなり、MSFが提供できる医療も制約を受けている。5月19日には、ナセル病院付近のハンユニス東部ほぼ全域に退避要求が出され、人びとは即座にマワシ地区への移動を余儀なくされた。
ガザでは5月15日から20日の間に、13万8900人以上が強制的に避難を余儀なくされたとされる(現場管理クラスター推定)。ハンユニス全域におけるイスラエル軍の爆撃と退避要求の強化により、MSFはアッタール診療所とマワシ診療所の救急処置室での救命活動のみを継続せざるを得なくなった。数日前から、デールバラハのアル・ハッカー診療所も閉鎖された。それ以前は、MSFのチームは、小児科、産前・産後ケア、心理的応急処置、外来栄養治療プログラムなど、1日350件超の診療を行っていた。
5月15日、イスラエル当局はガザ市のシェイク・ラドワン診療所に退避要求を出し、この施設は閉鎖された。それ以前は、MSFの支援を受けた保健省のチームが、推定25万人が住むこの地域で1日あたり約3000件の診療を行っていた。この診療所は、この地域で全面稼働していた最後の公的医療施設だった。
保健省によると、インドネシア病院が包囲された後、ガザ北部のすべての公立病院が稼働できなくなった。デールバラハにあるMSFの仮設病院では、ここ数日で病床使用率が150%まで上がったため、スタッフを増員し、ベッド数を20増床した。国連によると、ガザ地区全体で現在稼働している病院の病床数は約1000床。紛争激化前は3500床であった。
民間人と医療への攻撃を今すぐ止めると共に、必要な人びとに行き渡る量の援助物資をガザに届けなければならない。それを緊急課題として実現するため、イスラエルの同盟国はあらゆる力を尽くすことが求められる。1日が無為に過ぎるたびに、ガザの人びとの消滅により一層加担していることになる。
ガザでは5月15日から20日の間に、13万8900人以上が強制的に避難を余儀なくされたとされる(現場管理クラスター推定)。ハンユニス全域におけるイスラエル軍の爆撃と退避要求の強化により、MSFはアッタール診療所とマワシ診療所の救急処置室での救命活動のみを継続せざるを得なくなった。数日前から、デールバラハのアル・ハッカー診療所も閉鎖された。それ以前は、MSFのチームは、小児科、産前・産後ケア、心理的応急処置、外来栄養治療プログラムなど、1日350件超の診療を行っていた。
5月15日、イスラエル当局はガザ市のシェイク・ラドワン診療所に退避要求を出し、この施設は閉鎖された。それ以前は、MSFの支援を受けた保健省のチームが、推定25万人が住むこの地域で1日あたり約3000件の診療を行っていた。この診療所は、この地域で全面稼働していた最後の公的医療施設だった。
保健省によると、インドネシア病院が包囲された後、ガザ北部のすべての公立病院が稼働できなくなった。デールバラハにあるMSFの仮設病院では、ここ数日で病床使用率が150%まで上がったため、スタッフを増員し、ベッド数を20増床した。国連によると、ガザ地区全体で現在稼働している病院の病床数は約1000床。紛争激化前は3500床であった。
民間人と医療への攻撃を今すぐ止めると共に、必要な人びとに行き渡る量の援助物資をガザに届けなければならない。それを緊急課題として実現するため、イスラエルの同盟国はあらゆる力を尽くすことが求められる。1日が無為に過ぎるたびに、ガザの人びとの消滅により一層加担していることになる。
