プレスリリース

カメルーン:不当に拘束されたスタッフの釈放を要求──南西部での医療活動を停止

2022年04月07日
カメルーン南西部でのコレラ予防接種キャンペーン=2022年2月17日 © Faith Toran/MSF
カメルーン南西部でのコレラ予防接種キャンペーン=2022年2月17日 © Faith Toran/MSF

カメルーン南西部で医療活動に従事していた国境なき医師団(MSF)のスタッフ4人が地元当局に拘束されてから3カ月が経過した。MSFは4月5日、当局との協議に進展がみられないため、同国南西部での医療・人道援助活動を停止すると発表した。MSFは、当局と合意した手続きを経た活動であったにもかかわらず、スタッフが逮捕・拘束されたことに懸念を示したうえで、即時釈放を求めるとともに、カメルーン当局が今後の方針を明らかにし、有意義な対話に取り組むよう要請する。 

スタッフの不当な逮捕

2021年12月27日、銃創を負った患者を搬送していた救急車が、南西部ヌグティの検問所で止められ、同乗していたMSFのスタッフ2名が逮捕された。MSFの活動は当局と合意した人道援助通知手続きに従っていたにもかかわらず、スタッフは逮捕され、現在もブエア市の刑務所で公判前手続き中である。医療行為を行っただけで、分離独立派に加担したとの容疑で捜査が進められている。

その後、数週間のうちに、他の2人のスタッフや協力者も憲兵隊に逮捕された。拘束されたスタッフらは弁護士による法律相談を受けており、MSFはスタッフとその家族と常に連絡を取り合っている。

法的手続きと並行して、MSFの代表者は、カメルーン当局やその他の関係者など複数のレベルで協議を重ね、MSFの医療活動や手続きに関する情報を提供し、スタッフの解放を求めてきたが、大きな進展にはつながらなかった。今年2月、国防省に委託されてカメルーンの第三者機関がまとめた報告書では、MSFは人道主義の原則に従って行動していることから、MSFとそのスタッフは全ての不正行為から免責されるべきであり、そのスタッフは直ちに釈放されるべきという結論が発表されたが、現在の状況はこの報告書に反している。
 

行き詰まった援助活動

カメルーン南西部で、医療相談のために保健ボランティアの家に集まった人びと=2020年9月15日 © Fanwi Antoinette Buinda/MSF
カメルーン南西部で、医療相談のために保健ボランティアの家に集まった人びと=2020年9月15日 © Fanwi Antoinette Buinda/MSF

「私たちは、どうしようもない状況に置かれているのです。MSFの活動を必要とする人がいる一方で、医療援助従事者は、医療行為を理由に告訴される危険を冒さなくてはなりません。患者に援助を届けるには、危害を加えられない安定した環境が大前提です。MSFは、この問題をできるだけ早く解決し、医療・人道援助活動を再開できるよう、当局と継続して対話をする必要があります」と中部アフリカでMSFのオペレーション・マネジャーを務めるシルバン・グルクスは話す。

国際的な医療援助団体として、MSFは医療倫理と国際人道法に従い、医療を必要とする全ての患者に公平に医療行為を行っている。「MSFは、スタッフと患者の安全を最大限に確保しつつ、医療と必要不可欠な人道援助を確実に届けるべく、国家および武装勢力を含む全ての紛争当事者と対話しています。カメルーンでも、世界の他の場所でも同じです。これは公平性を欠く行為でも、カメルーン英語圏で進行中の暴力の当事者との共謀でもありません」とグルクスは話す。

 

MSFは1984年にカメルーンで活動を開始。現在の活動地は極北州、南西州、首都ヤウンデ。地域や病院で医療を受けやすくするための援助のほか、外科治療、マラリア治療、新型コロナウイルス感染症治療、健康教育を行っている。2020年にカメルーンで治療した患者は100万人以上に上る。2020年12月、MSFの活動は北西州当局によって停止され、現在も医療援助の再開に向けて協議を続けている。MSFはカメルーン南西州で猛威を振るっているコレラの流行対応で保健省の支援も行っていた。4月第2週付けで、MSFはカメルーンの英語圏全域で医療活動を止めるものとする。 

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