海外派遣スタッフ体験談
流動的なプロジェクトでコミュニケーションの重要性を実感
松田 尚子
- ポジション
- 薬剤師
- 派遣国
- タンザニア
- 活動地域
- ニャルグス
- 派遣期間
- 2015年8月~2015年11月

- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
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今回が2度目の派遣ですが、初回派遣の南スーダンでは、自分としては何もできなかったという思いが強く、このままでは終われないと思ったから。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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初回の派遣で、Excelでシフト調整や薬局スケジュールなどの管理業務を行っていましたが、このソフトをもっと効率的に使えるといい、と痛感したので、Excel講座に通ったり、医療用具について調べたり、薬理・病態の復習をして過ごしました。
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
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薬局マネジメントにおいて具体的に何をする必要があるか、初回の派遣を通じて多少なり見えていたので、周りとコミュニケーションをとりながら1つずつすすめていくことができました。
わからないことはすぐ聞くこと、自分1人で抱え込まないで、困ったときは相談する、周りに頼ることができたので、いっぱいいっぱいにならずにすんだと思います。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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ニャルグス難民キャンプ
今回はタンザニアの西部にあるニャルグス難民キャンプで、現地の医療機関のサポートをするプロジェクトです。もともとはコレラ流行の対応プロジェクトとして開始し、ワクチンキャンペーンが行われましたが、コレラが終息すると、栄養失調の子どもの治療や移動診療所、マラリア予防の啓発活動に切り替わりました。
さらにブルンジからの難民の到着に対して飲料水の供給とトイレの設置も行われました。患者の症状では、呼吸器疾患、下痢などの消化器疾患、皮膚疾患、それからマラリアがよく見られました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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薬局内のようす
海外派遣スタッフの住居はキャンプ内のオフィスから車で20分ほどのところにあるため、毎朝7時半頃にみんなで車に乗ってオフィスに向かいました。他部署とのミーティング゙、薬剤消費の分析や発注の準備、薬局スタッフのトレーニングや移動診療チームの調剤担当者のサポートなどを行いました。
着任当初は夕方6時半、1日のうち最後の車の出発に合わせてオフィスを出ていましたが、途中から安全上の関係で5時にはオフィスを出なければならなかったので、必要な書類などを住居に持って帰って作業をしていました。
薬局は日曜日も開いているので、状況をみて、平日の午前中に取れるときに休みをとったりしていました。勤務外の時間は音楽を聞いたり、みんなでおしゃべりしたり、白幕を張って映画を見たりしました。最後の日曜日には、みんなでサイクリングにも行きました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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宿舎からきれいな朝日が見える。
難民キャンプでの活動と言っても、海外派遣スタッフの住居はテントではなく、きちんとした建物です。スタッフの人数が多いときは部屋をシェアすることもありましたが、基本的には個室がもらえます。ベッドと、ちょっとした棚がありました。
バケツシャワーでしたが、ロジスティシャンが毎日ドラム缶にお湯を沸かしてくれていたので、自分で水と混ぜていい温度のお湯にできたので、寒さに震えることなく毎日シャワーができました。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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今回はよく体調を壊したので、それが一番つらかったです。3回目のひどい下痢で苦しんだ後、トマトサラダを食べるのをやめたらその後は下痢にならなかったので、私には生水と生ものはダメだなと実感しました。
それから、今回は当初緊急プロジェクトだったため、さまざまなことが流動的で、せっかく行ったことが無駄になったりと、計画をたててすすめて行くことが難しかったです。流動的だからこそ、きちんとコミュニケーションをとって最新の情報を常に耳に入れるようにすることが重要だということも感じました。
- Q今後の展望は?
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次回、パプアニューギニアの結核プロジェクトの話をもらっているので、少し休んでから結核について勉強したいと思っています。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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完璧な「スーパーマン」スタッフなんていません。みんなが知識と経験と知恵を持ち寄って活動しています。活動に参加したい想いがあるなら、ぜひ挑戦してみてください。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2015年2月~2015年5月
- 派遣国:南スーダン
- 活動地域:アゴク
- ポジション:薬剤師