海外派遣スタッフ体験談
「初めて」の連続に日々奮闘
松田 尚子
- ポジション
- 薬剤師
- 派遣国
- 南スーダン
- 活動地域
- アゴク
- 派遣期間
- 2015年2月~2015年5月

- Qなぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?
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国際的な組織で働きたいという思いがずっとあり、薬剤師の資格を生かせるMSFに応募しました。また、世界の現状をこの目で見たいという思いもありました。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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薬理学の復習をしたり、英語で書かれた書物を読んだり、BBCニュースを聞いたりしていました。あとはアゴクのプログラムはフランス語の活動ではありませんでしたが、フランス語圏でのプログラムも多いと聞いていたので、今後のためにフランス語も少し勉強していました。
- Q今までどのような仕事をしてきましたか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?
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これまでは調剤薬局と病院で薬剤師として働いてきました。今回参加したプログラムは複数の病棟がある病院であったため、以前、病院に勤務していたときの経験、特に注射薬等の知識や、医師・看護師たちとのコミュニケーションの経験は役に立ったと思います。また、これまで語学留学を含めさまざまな文化の人と触れ合う機会があったため、各国から集まるスタッフとも問題なく過ごせました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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アゴクの病院で治療を受ける栄養失調の子ども
病床数150を超える病院で、内科、外科、産科、栄養失調や結核対応の病棟などもあるプログラムです。
私は薬剤師として薬局マネジメントに携わりました。病院の事務所が入る建物の隣に薬局棟があり、 薬局のスタッフは現地スタッフ3人です。病棟への薬の払い出しや首都への発注、在庫の管理、コールドチェーン(低温輸送システム)が中断してしまった際の対応、また現地スタッフのトレーニングなどです。
薬局にある冷蔵庫などの温度管理は大きな問題がなかったのですが、各病棟がワクチンなどの保管に使っているクーラーボックスの温度管理がとても難しく、一定以上の温度になると警告がでるアラートがよく出ていたため、その対応に追われることが多かったです。
そのほかにも調剤部のシステムの変更や薬局のレイアウトの変更も行いました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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薬剤倉庫内でチームミーティング
朝8時から薬局に出向き窓口対応やデータの集積などを行ったりしていました。週1回、医療チームのスーパーバイザーが集まるミーティングに参加し情報交換していました。
毎日不測の事態が起こるため、夜8時過ぎまで業務に追われ、日曜日もワクチンの払い出しなどで呼び出されることが多かったです。勤務外の時間はほかのスタッフと団らんしたりマーケットへ行ったりしました。
薬の在庫管理に重要なデータが十分になかったことで、急な在庫切れに陥ったり、海外発注した薬の到着が遅れたり、逆に物資輸送が突然届くこともあり、そういった状況に対応するため、日々奔走していました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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住居スペースから見える朝日が美しい
私はトゥクルというわらぶき屋根の小屋をほかのスタッフとシェアをして住んでいました。朝や日中は外より涼しいのですが、夜は熱がこもってかなり暑く、扇風機が必需品でした。かなり大所帯のプログラムであったため、テントもあちこちに張られ、活動期間の短いスタッフはテント生活です。
食事に関しては、メニューはかなり限られていましたが、毎食作ってもらえたので特に仕事の後は助かりました。暑さと乾燥と砂ぼこりは大変でしたが、水道からお水が飲め、シャワーがあり、部屋に電気が通っていたのはありがたかったです。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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今回が初めてのNPOでの活動であり、初めてのアフリカ生活であり、初めて日本語が誰にも通じない環境で働くというように「初めて」の連続で本当に大変でしたが、さまざまな制限がある中で現実を受け止め、自分に何ができるか見つめ行動していくことを学ぶことができました。
- Q今後の展望は?
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今はただただゆっくり休みたいと思います。
今回の派遣で医療用具の知識と医療英語、それからエクセルの必要性を実感したので、取り組みたいと思っています。またフランス語の話者がとても多く住居スペースではフランス語が飛び交っていたので、フランス語も継続して勉強したいなと思っています。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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自分の目で見て経験しなければ知りえないことがたくさんあります。派遣前はとても不安でしたし、派遣期間中も本当に大変でしたが、今、行って良かったと心の底から思えます。