マラリア最流行期を迎えたナイジェリア、高まる医療援助の必要性

2020年09月04日掲載

入院治療を受けるファティマ・アリちゃん(2歳)と、母親のザラー・ラワルさん © MSF/Abdulkareem Yakubu入院治療を受けるファティマ・アリちゃん(2歳)と、母親のザラー・ラワルさん © MSF/Abdulkareem Yakubu

熱帯・亜熱帯地域では、雨期の到来とともにマラリアの症例数が大幅に増加するが、その中でも患者数が突出して多いのがナイジェリアだ。世界保健機関(WHO)の報告によると、同国は2018年における世界全体の患者数の25%、死亡者数の約24%を占めているという。

2020年8月、国境なき医師団(MSF)はナイジェリア北東部ボルノ州において、季節性マラリアの化学的予防の活動を行った。薬剤によるこの予防法は、最も感染リスクの高い生後3カ月~5歳の子どもを対象に、重症化を防ぎ、早い段階で治療を行うことを目的に毎年実施されている予防プログラムだ。

また年間を通じた取り組みとして、MSFはマイドゥグリをはじめとする4つの市の医療施設でマラリアの患者の治療にあたっているほか、ランでは検査や治療を受けられる「マラリア・コーナー」または「マラリア・ポイント」と呼ばれる施設を11カ所運営している。

子どもの重症化を防ぐ取り組み

マイドゥグリでMSF医療チームリーダーを務める
ブレッシング・エジャウェモキエ医師 
© MSF/Abdulkareem YakubuマイドゥグリでMSF医療チームリーダーを務める
ブレッシング・エジャウェモキエ医師 
© MSF/Abdulkareem Yakubu

 「私たちはマラリアの大流行に備え、準備を進めています。この病気は、処置が遅れると命にかかわる重度の貧血を引き起こす恐れがあり、特に小児患者には輸血が必要となる可能性もあります。そこで、一般の方や患者さんのご家族から献血を募っているのです」こう語ったのは、マイドゥグリでMSF医療チームリーダーを務めるブレッシング・エジャウェモキエ医師。

マイドゥグリでは、合併症のある子どもの患者を対象にした二次医療も担い、グワンゲ地区の小児病院で治療にあたっている。最流行期に入った6月以降の小児患者数は、この病院だけで1000人を超えた。

グワンゲの病院でマラリアの治療を受けているファティマ・アリちゃん(2歳)の母親、ザラー・ラワルさんは、娘を連れてきた際の様子をこう語る。

「病院に着いたとき、娘は意識がなく、呼吸さえも困難な状態でした。すぐに酸素補助と治療をしてもらったおかげで、今は安定しています」

最流行期を迎え——地元住民と国内避難民キャンプへの移動診療を実施

 マラリアの最流行期を迎え、MSFのアウトリーチ・チームは地元住民が暮らす地域と国内避難民キャンプを訪問。感染者をその場で治療する活動を開始し、438件の診療を行った。入院が必要な重症患者は、十分な処置を受けられるMSF病院へと引き継ぎ、今年6月時点で、ボルノ州内にある複数の病院で2170人余りを治療した。

またMSFは、中東部のベヌエ州と北西部のザムファラ州でも、主に子どもを対象としたマラリア関連プログラムを展開。これまでにベヌエ州で3219人を、そしてザムファラ州ではアンカの小児病棟に入院する1824人の治療を行った。

今年は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で、医療援助の実施が困難になっている。しかしMSFは、科学的予防の活動での対人距離の確保、手洗い場の設置、保護者による投薬などの予防策を導入したうえで、今後もマラリアから命を守る活動を行っていく。

マラリアの重症患者を治療する病院内の様子 © Abdulkareem Yakubu/MSFマラリアの重症患者を治療する病院内の様子 © Abdulkareem Yakubu/MSF

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