武力戦闘で家を焼かれ 1万人以上が避難 人びとは全てを失った

2018年11月23日

安全な場所を捜し求める避難者。© MSF/Helena Cardellach安全な場所を捜し求める避難者。© MSF/Helena Cardellach

中央アフリカ北部バタンガフォで10月下旬、2つの武装グループによる戦闘が発生し、多くの住民が避難民となっている。1万人以上がバタンガフォ病院に避難。現在も5000人余りが敷地内にとどまり、極めて不安定な状況下での生活を強いられている。戦闘による火災で、自宅など全てを失ってしまった人が多い。治安は落ち着いてきたが、事態は切迫したままだ。

「まるでホラー映画のようでした。多くの家が炎に巻かれていて、本当にひどかったです」バタンガフォで国境なき医師団(MSF)プロジェクト・コーディネーターを務めるエレナ・カルデリャクは、そう語る。

「発端は10月31日の水曜日です。病院でけがの患者さんを1人受け入れました。その患者さんはバタンガフォを牛耳る武装勢力のひとつに所属していたんです。それから武力衝突が発生し、町の大部分が破壊されました」カルデリャクは動揺した様子で続ける。この男性患者への報復として、別の武装勢力が、国内避難民の多数いるキャンプ3カ所を攻撃し、大部分を焼き払った。

「今も焼け焦げた臭いがします。住居も、市場も、礼拝堂も燃え尽きてしまいました」 

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戦闘で焼かれた跡の街。© MSF/Helena Cardellach戦闘で焼かれた跡の街。© MSF/Helena Cardellach

MSFの運営するバタンガフォ病院が受け入れた約20人の被害者の中には、銃撃による傷や重いやけどを負った人もいた。全てを失った数千人の国内避難民が、今も不安定な状況に置かれている。

「私たちが問題にしているのは、何も持ち合わせず、劣悪な衛生環境で過ごしている人たちです」

避難してきた人びとの様子。© MSF/Helena Cardellach避難してきた人びとの様子。© MSF/Helena Cardellach

満足な保健医療も受けられない。マラリア、下痢、感染症、流行病のリスクは深刻だ。MSFは現在、避難民のために最低限の衛生水準を確保できるよう、病院内の水道設備を増やす緊急対策を進めている。だが、気がかりなのは、町の周辺ややぶ地に逃れた人びとの保健医療だ。

「現在のバタンガフォは廃虚です。日が昇って状況が落ち着いている時は、人びとは病院内の避難所を出て、生活に必要な用事を済ませます。夜になると病院に戻ってきますが、わびしい光景です」

中央アフリカ共和国の市民は今も、紛争の最大の犠牲となっている。国内の全人口約450万人のうち、約57万人が周辺国で難民となり、別の約69万人が国内避難民となっている。 

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