プレスリリース
地中海:MSFとシーウォッチが共同し、人命救助プロジェクトを始動
2020年08月06日
国境なき医師団(MSF)は、独NGO「シーウォッチ」と共同し、新しい救助船「シーウォッチ4号」で地中海中央部での捜索・救助活動を開始する。この協力関係は短期間で実現したが、その背景には、欧州連合(EU)加盟国が、新型コロナウイルス感染症を口実に地中海での捜索・救助活動を縮小し、リビアで続く暴力や虐待を野放しにしている政策がある。意図的に人命救助しないという政策によって、地中海を越えようとした多くの人びとが死に追いやられた。
「アフリカから来た人びとの救助を拒否」
「地中海で溺れ死ぬ人たちを放ってはおけませんし、リビアでの拷問や暴力も許されることではありません」とMSFのオペレーション・ディレクターを務めるオリバー・ベーンは言う。
幅広い支持を集める民間の救助活動
政府による違法視とは対照的に、民間の海上救助活動は世間の幅広い支持を得ている。「ユナイテッドフォーレスキュー(United4Rescue)」はそうした支持者団体の1つ。同団体によりシーウォッチ4号が購入され、救助活動目的で就航する運びとなった。 2019年12月に独プロテスタント教会が主導し設立されたUnited4Rescueは、現在では教会の枠をはるかに超え、 500人以上の会員を擁している。
新型コロナウイルスによって状況はさらに深刻に
リビアに強制送還された数百人の多くは消息不明となっている。他の人びとは衛生状態が悪く、水や食べ物も満足に得られない環境で収監されている。新型コロナウイルスが猛威を振るう中でも、過密な空間で互いに距離を取ることもできない。 2020年初めにリビアで紛争が激化したが、新型コロナウイルスの発生により、崩壊寸前だったリビアの医療体制と人道危機はさらに深刻な状況に陥っている。
シーウォッチとMSFの合同活動について
今年2月、 United4Rescueは、海洋調査船を購入しシーウォッチ4号と改名、地中海中央部での捜索・救助活動のために改造した。シーウォッチは船の運行と、ボランティアを含む21人のチームで救助活動を行う。 United4Rescueの支援者でもあるMSFは、同船上で救急医療とともに、船内医務室の運営も担当する。医師と助産師を含む4人の医療チームと、広報とアドボカシーを担当する2人のスタッフが乗船する。シーウォッチとMSFは共同で食料と必需品の配布や、緊急搬送が必要な人の特定などを行う。




