海外派遣スタッフ体験談
イエメンへ再び、産婦人科症例にも対応
池田 知也
- ポジション
- 外科医
- 派遣国
- イエメン
- 活動地域
- ハメル
- 派遣期間
- 2016年1月

- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
-
日頃から、日本での医療活動と国境なき医師団(MSF)での活動の両立を目標に、働いております。片方の仕事にのみ寄りすぎないように、バランスを心掛けております。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
-
前回の派遣後から、格別に何かを準備したということはありません。日本の医療現場で、技術の向上に努めました。今回は産婦人科症例も多いと聞いていたので、今まで経験してきたことの復習をしておきました。
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
-
これまで覚えた数少ないアラビア語で、
現地スタッフともすぐ打ち解けた。今回の派遣地、ハメルは初めてでしたが、イエメンへの派遣は3回目であったため、あまり困ることもなく活動に参加できました。特に、現地のスタッフとのかかわり方は、派遣経験を積むに従い、うまくなってきている気がします。
また、今回の活動では産婦人科の症例も多かったので、MSFへの登録前に産婦人科の経験をしていたことが大いに役立ちました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
-
帝王切開の手術に臨む筆者(右)
イエメンのハメルという街での、病院支援のプロジェクトでした。そのなかで、外科領域を担当いたしました。銃創や交通外傷といった外傷に対する外科治療を中心とし、虫垂炎や腹膜炎といった一般外科領域、整形外科領域、産婦人科領域の手術に従事しました。
現地の外科医、麻酔科医、助産師、看護師、理学療法士と協力し診療にあたりました。血管外科や皮弁を用いた再建の際は、現地の外科医を指導していましたが、産婦人科領域の手術に関しては、現地の外科医の方が経験豊富であったため、分からないことを教えてもらったりしていました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
-
美しいハメルの町並み
朝、8時から医療チームでミーティングがあり、1日が始まりました。その後、外科病棟の回診を行い、回診後に手術を行いました。イスラムの休日である金曜日にも予定手術を行わないと手術を消化できなかったので、手術のない日はありませんでした。臨時手術は、銃創症例や帝王切開が多かったです。
時間があるときには、標高2400mという立地を生かし、低酸素トレーニングをしていました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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ハメルの宿舎の屋上にはMSFのランニングマン
病院から歩いて10分、車で5分程度の場所にある、オフィス兼住居にて生活していました。夜間はジェネレーターが止まるため電気は使えなくなりますが、おおむね不便なく生活していました。インターネットは途切れることも多かったですが利用可能でした。
イエメンは暑いイメージを持たれている方が多いと思いますが、ハメルは標高が2400mと高いため、日が暮れると寒いくらいでした。個人的には病院内に住む方が好きです。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
-
今までの活動では、紛争による外傷患者を対象とすることがほとんどでしたが、今回は幅広い疾患へ対応する必要があり、いい経験が出来ました。銃創による大腿動脈損傷の症例では、失敗すれば肢の切断が必要となってしまう状況でありましたが、血行再建に成功し、患者さんや他のスタッフに「トモヤがいてよかった」と感謝され、正直、うれしかったです。
また、他国からの海外派遣スタッフが多言語を学習していたり、自国を離れ勉強に出ていたりしており、モチベーションの高さに刺激されました。
- Q今後の展望は?
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今まで通り、日本での医療活動と、MSFでの活動の両立を目指していきたいです。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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前回も書きましたが、日本で自分の分野にて一人前となることが、近道だと信じています。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2015年9月~2015年11月
- 派遣国:イエメン
- 活動地域:サナア、アデン
- ポジション:外科医
- 派遣期間:2015年4月~2015年6月
- 派遣国:イエメン
- 活動地域:アデン
- ポジション:外科医