海外派遣スタッフ体験談
長期プログラムから緊急対応へ
室町 知隆
- ポジション
- 薬剤師
- 派遣国
- シエラレオネ
- 活動地域
- ボー
- 派遣期間
- 2014年1月~2014年11月

- QMSFの海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
-
前回のシリアでの派遣活動を終了後、少し休憩を挟んだ後、今回の派遣が決まりました。MSFの活動地には、日本では経験できないような医療があるからです。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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少し時間があったので、知識のアップデートをかねてパートで働いていました。
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
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今回が4度目の派遣ですが、今までいろいろなプログラムを見てきた中で、妊婦、母子健康プログラムや麻しん(はしか)の流行対応の経験が役立ちました。
今回、活動途中から急きょ携わったエボラ出血熱の対応は初めてでしたが、これまでにも緊急プログラムの経験があり、それを活かしつつ取り組みました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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ボーのMSFエボラ治療センター
MSFは、南部州ボー地区に建設、運営するゴンダマ病院で10年以上の活動歴があり、ハイリスク分娩の妊婦、新生児、マラリアや熱傷、呼吸器・消化管感染症の小児に対する医療を提供してきました。また、シエラレオネと近隣の西アフリカの国々はラッサ熱(※)の流行地帯であるため、ラッサ熱患者の対応もするプログラムでした。
当初、海外派遣スタッフはシエラレオネ国内のすべてのプログラムを含めて約30人、現地スタッフは600人以上でした。
今回は、自分が直接指導をする現地スタッフはいませんでしたが、各プログラムでの薬局責任者、病院責任者、医療チームリーダーや医師、看護師などの海外派遣スタッフに対して医薬品と資材の適正使用、在庫管理についての助言、指導をし、医薬品・医療資材の供給や品質に問題があればヨーロッパの本部と連携して対応し、また各プログラムへの医薬品、医療資材の発注と供給などを行いました。
雨期にしばしば流行をみせることがあるコレラ、またラッサ熱流行に対応する為の緊急対応の準備も行いました。またシエラレオネで3月に麻しんが流行したため、流行地域に移動診療チームを派遣しました。
3月にギニアでエボラ出血熱が確認され、5月下旬にシエラレオネ国内でエボラ患者が確認されると、エボラ出血熱への緊急対応のため、新たに計3つの緊急プログラムを展開し、医薬品、医療資材の供給、特に防具服一式の必要十分量を予測計算し、各プログラムに緊急で供給することに多くの時間を費やしました。
- ラッサ熱は西アフリカ一帯にみられるウイルス性出血熱で、肝臓、脾臓(ひぞう)、腎臓など複数の臓器を侵す急性疾患
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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医療物資はヘリコプターで運び込む
シエラレオネ国内で展開するプログラム全体の医薬品、医療資材の管理責任者として、使用量のチェック、緊急対応用ストックの整備、適正在庫確保のための定期発注、エボラ対応の緊急発注と供給、各プログラムを訪れ責任者などと医療品供給システムの構築を行い、医薬品・医療資材などに関する問題の解決などに従事しました。
4ヵ月ごとに在庫の棚下ろしとヨーロッパへの発注があります。特にエボラの大流行後はほぼ週末も働き、緊急発注とその受け取りも頻繁にありました。新規プログラムをオープンさせる前後は夜遅くまでオフィスでミーティングや必要な資料、データをまとめていることもありました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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5月から10月が雨期で、雨が続くと肌寒いこともありました。11月から4月が乾期で、3月~4月が特に暑い季節でした。
当初約30人近くいた海外派遣スタッフは、6軒の家に分かれて住んでいました。個室が割り当てられ、電気はジェネレーターで1日のうち決まった時間供給され(雨期は時々公共の電気が通ることも)、水はポンプで井戸からくみ上げたものを使用していました。
ほとんどの部屋にエアコンは無く、扇風機を使用し、シャワーは水でした。食事は平日の昼夜とも現地スタッフに用意してもらうこともできましたが、夜は気の合うメンバーで一緒に料理していました、週末は各自で用意します。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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エボラ治療センターの薬局スタッフたち
着任当初はまったくエボラ出血熱の流行など予想していませんでした、緊急プログラムの立ち上げが続いて、最終的な医薬品のマネジメントのほぼすべての責任を自分が担っていたところが大変でしたが、結果として、そこをこなせたところが自信になりました。
- Q今後の展望は?
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少し休憩して考えます。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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プログラムによって特徴があるため、同じようなプログラムでもその中で何が起こるか分からないので、派遣ごとに新しい経験と、そこから学ぶものがあります。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2013年8月~2013年10月
- 派遣国:シリア
- プログラム地域:—
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2012年11月~2013年5月
- 派遣国:ナイジェリア
- プログラム地域:アブジャ
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2012年1月~2012年9月
- 派遣国:パプアニューギニア
- プログラム地域:ブーゲンビル島ブイン
- ポジション:薬剤師