海外派遣スタッフ体験談
震災後プログラムの終了で多くの学び
鬼頭 佳代
- ポジション
- 手術室看護師
- 派遣国
- ネパール
- 活動地域
- アルガト
- 派遣期間
- 2015年6月~7月

- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
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毎回、派遣で楽しいこと大変なことを含めて学びが多いため、日本での仕事で都合がつけば定期的に参加したいと考えています。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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日常の手術室勤務で継続的に知識や技術を学んでいました。語学に関しては、派遣活動中に知り合った友達とメールやスカイプを通してコミュニケーションをとり、英語のテレビ番組を見る、英語記事を読むなどといった方法で英語力を維持していました。
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
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MSFはどのプログラムに参加してもプロトコルにそって運営されているので、手術室のシステム、器機セット、滅菌工程など2度目以降の活動参加では迷わずすぐに仕事に取り組めます。こういったシステムがしっかりした組織は無駄が少なく本当に働きやすい環境だと思います。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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アルガトのテント病院で治療を受ける患者
ネパールでの地震後の復興援助です。山岳地帯の町アルガトでは、地元の拠点病院が倒壊し、被災者はもちろん、地震が起こる以前からの患者や妊婦なども医療を受ける場をなくしていました。
そこで、MSFは一時的な仮設のテント病院を立ち上げ患者の受け入れを行ないました。患者は一般病棟では外傷、骨折などが主で、産科病棟もあり分娩や帝王切開なども行いました。手術室ではデブリードメント(※)や骨折の整復が多い症例でした。
総勢20人程度のチームでしたが、テント病院の設置、立ち上げということもあり、医療スタッフよりもロジスティックのスタッフが多かったです。その他現地スタッフを含めたメンバーで働いていました。
- 感染を起こした傷や壊死した組織の切除
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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手術室で業務にあたる筆者(左)
1日のスケジュールは、朝8時30分ごろから手術を開始します。手術は午前中に終わることがほとんどでしたが、緊急手術や患者が多い場合は午後に行うこともありました。
午後は滅菌室で器機の洗浄や滅菌を行ないます。午後4時ごろから外科回診を外科医、麻酔科医、病棟看護師とともに行い、手術後の経過や次の日の手術の予定を組みます。
その後は自分たちのテントに帰り、バドミントンをしたりカードゲームをしたりして自由時間を過ごしました。
手術室看護師は緊急で呼ばれると手術室に向かいます。休日も、基本的には常に待機状態ですが、近くのマーケットなどに散歩に出かけたりもしました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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入院病棟テントの前で
テントで、2人で1つをシェアしていました。トイレ、シャワーも簡易的なものですが使えます。シャワーは水でしたが、暑いところなので問題ありませんでした。広い敷地に住居用テント、オフィス用テント、テント病院が設置されていました。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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物資を運ぶヘリコプターの到着を見守るアルガトの住民
ネパールの人たちはとても親切で礼儀正しく、とても働きやすかったです。地震から2ヵ月経っても、倒壊した家などはまだそのままになっていますが、地震直後から避難していた人たちも徐々に町に帰ってきて、少しずつ活気が戻ってきている様子もありました。
しかしまだまだ土砂崩れの危険が高く、復興にも時間がかかりそうな様子でした。
- Q今後の展望は?
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今回はプログラムの閉鎖の時期で、活動を終えて閉鎖する際のジレンマや大変さ、現地の人びととのコミュニケーションや計画の重要性など多くを学ぶことができました。
今後は、まだ経験のない緊急援助にも参加したいです。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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迷っているなら参加してみてください。大変なことはもちろんありますが、それ以上に、学び、楽しさ、人間的な成長など得るものもたくさんあります!
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2015年2月
- 派遣国:ナイジェリア
- 活動地域:ポートハーコート
- ポジション:手術室看護師
- 派遣期間:2013年8月~2013年11月
- 派遣国:南スーダン
- 活動地域:アウェイル
- ポジション:手術室看護師