海外派遣スタッフ体験談
コミュニケーション力を活かして活動に参加
落合厚彦
- ポジション
- ロジスティシャン
- 派遣国
- マラウイ
- 活動地域
- チラズル
- 派遣期間
- 2008年7月~2009年2月

- QなぜMSFの海外派遣に参加したのですか?
-
以前から国際協力には関心があり、他の組織の活動には参加していました。 MSFに参加した理由は、まず、その理念と実行力に共感した事。そして、組織の規模が大きくサポート体制がしっかりしている点は、技術面で不安のあった自分には背中を押す事になりました。
- Q今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?
-
世界エイズデーでMSFとしてイベント(パレード、
臨時クリニック、啓発活動、サッカー試合等)
を行った時、ロジスティシャンとして
パレードの準備状況を携帯電話2台を
使い確認しているところ。MSFに参加する直前は、JICAのシニア・ボランティアに参加し、2年間途上国で現地スタッフを技術指導。それ以前は、ラジオ番組の制作に従事していました。さらにその前は、JICAの青年海外協力隊として途上国で2年強活動。
私の場合、自動車整備が出来るわけでもなく、建設に従事した経験もなく、物流にも詳しくない。ロジスティシャンとして、技術面でのアピールポイントはありません。ただし、ロジスティシャンに求められるのはそれだけではありません。コミュニケーション、マネージメント能力も、非常に大きな要素です。
番組制作のプロデューサー、ディレクターという仕事を通して、スタッフをまとめ番組という一つの形を作り上げて行った経験は、様々なスタッフと活動を共にするというMSFにおいては役に立ちました。
また、途上国で働いた経験、特に日本の常識、倫理観に当てはめて考えるのではなく、相手の目線、価値観、文化的背景にも配慮しながら事を進めて行くことが出来たのは、海外での業務経験のお陰だと思います。
どのような仕事にも当てはまると思いますが、周りの助けなくして成功はありません。いかに、周囲のスタッフとコミュニケーションを取り、目標設定、計画立案、そして、実行に移していくかということが大事だと実感しています。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
-
到着した発電機のチェックを現地人スタッフ
とする本人マラウイ・チラズル地域において、全HIV/AIDS感染者に抗レトロウイルス治療を提供し延命率をあげることを目標に、郡部にある10の診療所を中心拠点としていくプログラムを進めています。
私の役割は、「車両(12台)の整備の管理と配車」「オフィス、及びスタッフ住居のメインテナンス」「オフィス、及びスタッフ住居の機材、施設のメインテナンス」、「施設の建設監督」、「スタッフ(ドライバー13名、警備員24名、車両整備士1名、メインテナンス担当1名、倉庫管理1名、清掃担当4名、コック2名、アシスタント3名)の労務管理」、「プロジェクト、及びスタッフのセキュリティ」「IT」「病院でのMSF所有の機材のメインテナンス(検査技師と共同)」、「保健省が管轄する病院施設の保守整備のサポート」ほか。簡単に言うと、医療業務と人事経理以外の全てが業務範囲です。
- Q週末や休暇はどのように過ごしましたか?
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週末は、仕事をするか住居でのんびりする事が多かったです。たまに車で40分ほどのブランタイヤという街にも出かけました。
休暇時にはマラウイ国内を、1人もしくは他のスタッフと旅行しました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
-
トイレ建設のスタッフ。写真は床になる部分を
コンクリートで作り乾かしたところ。10名強のインターナショナル・スタッフが、それぞれ歩いて5~6分の距離にある3つの住宅に分かれて住んでおり、住居環境は概ね快適であったと言えます。私が住んでいたのは独立した離れで10畳(もちろん畳ではなくコンクリートの床です)ほどの部屋が2間ありました。レンガ造りで屋根はトタン。温水シャワーとトイレが付き。離れは私のものを入れて3つ。母屋には4部屋と温水シャワー1機、トイレが2台ありました。電気は2日に1回2時間ほど停電。水は上水道が完備されていましたが、乾期にはほとんど供給されなかったので、定期的に給水車で水のタンクを補給していました。電話回線があったので、この電話回線でインターネットへも、恐ろしく遅いダイアルアップですが、接続出来ていました。接続は不安定で、5回に1回程度しか接続に成功しないし、接続しても突然切れたりする事も多々ありました。
- Q良かったこと・辛かったこと
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クリスマスイブ、病院に入院している子供たちに、
MSFからクリスマスプレゼントを配る。左手に持って
いるツリーは、日本のMSFから贈られたもので、
クリスマスソングのオルゴールが子供たちを楽しま
せてくれました。マラウイを始めてとしてフランス、アメリカ、ケニア、ウガンダ、コロンビア、オーストラリア、コンゴ民主共和国、チリ、スリランカ、パキスタンという地域も宗教も違う国から、年齢も20代から60代までと幅広い人々と仕事ができた事は自分の中での財産です。また、医者、看護士、薬剤師、疫学者、自動車整備士などの専門家と様々な意見交換、議論をしたことも、今後の活動に役立ちます。
辛かったのは、他スタッフとコミュニケーションが上手くとれなかった時。
- Q派遣期間を終えて帰国後は?
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1ヵ月ほど日本で心身のリフレッシュをしたのち、また別のミッションに参加したいと考えています。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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まずはMSFの採用担当の方に相談されるのがいいと思います。自分に必要とされる能力、欠けている技術などが分かるはずです。