海外派遣スタッフ体験談

自分の目で見て、体験して、世界を知る

堀 正貴

ポジション
ロジスティシャン
派遣国
シエラレオネ
活動地域
フリータウン
派遣期間
2015年4月~2015年8月

Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

前回のエチオピアへの派遣が初めての参加でしたが、さらに異なる活動経験をしたかったので、3月下旬に日本事務局へ意向を伝え、4月に入って今回のプログラム参加が決まりました。

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

毎日、英語テキストで聞き取り、発音、作文の訓練をするようにしました。朝は毎日、天気に関係なくジョギングを実施しました。語学の勉強は実際どのくらい役に立ったか実感がありませんが、雨の中でのジョギングは現地の雨期の屋外仕事に前向きに取り組む心の準備になったと思います。

Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

常識の異なる集団がひとつの目的に向かって進むので、意思の疎通を確認しあう事が大切だと思います。チームでの仕事目標を、日・週・月で設定して、毎朝、誰が何をしなければならないか、何が出来なかったかを確認しました。ロジスティックの仕事は、ほかの職種と比べて内容が明確で、やるべきことがはっきりしているので、思った以上に効果はありました。

Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
業務にあたる現地のロジスティック・チーム 業務にあたる現地のロジスティック・チーム

エボラ対策の緊急プログラムです。エボラ治療センターはフリータウンのMSFの拠点から車で1時間30分ほど離れた場所にあり、そこへの物資補給活動、調達(ローカル購買、輸入通関、物流倉庫発送業務)を6人の現地スタッフと実施していました。

海外派遣スタッフは人事、経理、活動責任者など、6~8人ぐらいで、そのほかに、現地スタッフとして4台の車の運転手、守衛の構成です。

Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
休日はビーチに行ってリラックスすることも

自分が赴任していた時期には、エボラの患者数が減少したので、施設も移転・閉鎖計画があり、医療資材の管理(有効期限別の在庫数管理、倉庫数の縮小、移動)など、多くの時間が物資の転送と棚卸に費やされました。

患者数が減っても、いつまた増加するかわからないので、医療資材の在庫は週1回すべての品目の実地棚卸をするのですが、現地スタッフも毎日汗だくで根気よく何度も数を数えなおす毎日でした。

日曜日が休日で、全員でビーチに行くのが楽しみでした。任期中は新規患者がいなかった事もあり、ほぼ定刻での勤務時間でした。

Q現地での住居環境についておしえてください。

住居はホテルで、エアコン、シャワー、WiFi、洗濯サービス、3食付で申し分ない環境ですが、エボラが接触感染のため、「ノータッチ・ポリシー」が徹底されており、同僚とも握手禁止、ハグも禁止(日本人は別に苦痛じゃないかもしれませんが)でした。

街では、1軒に入出するごとに稀薄塩素水で手と足の洗浄、体温計での検温が義務つけられていました。理容室へ行くのも禁止なので、バリカンを買って自分で坊主刈りにしていました。

Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
現地スタッフの守衛、ドライバーと 現地スタッフの守衛、ドライバーと

在任中に、緊急プログラムから通常プログラムに替わったため、MIO(Mobile Implementation Officer)(※)が派遣され、具体的な仕事の変更点の研修を2週間ほど現地スタッフと受けることが出来ました。

緊急時は結果が優先で規則は後回し、といった部分もありますが、現地スタッフはエボラ緊急時に採用され、略式のやり方に慣れていたため、通常の流れとして必要な調達願い書、発注書、請求書、入庫、出庫など、一連の管理書類の承認作業の順守にはかなり抵抗を感じていたようです。

ただ、調達の全体の流れとMSFの業務基準の説明をしっかりと受けられたのは、自分にとっても現地スタッフにとっても幸運だと思います。

  • プログラムの変更に伴い、適切に業務が実施できるよう計画・サポートする役割
Q今後の展望は?

MSFの活動を通じて出会う人びとの中に、自分が子どもの時に読んだ本に出てくるような医療関係者を発見します。彼ら彼女らは本当に自分を活動にささげて、1人も見捨てたくない、より多くを助けるんだ、という熱意で参加しています。

こんな人に出会うと、自分もまだまだ頑張れると思います。残念な事に世の中は人命を軽視する出来事が増えています。少しでも人を助ける活動に賛同する若者が増えるように願って、継続したいと思っています。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

現在はメディアのグローバル化で世界の状況がすべて解ると錯覚しますが、実際現地に行くと、果たして日本の報道はどこまで事実を伝えられるのか?と感じます。自分の目で見て、体験して、初めて世の中を多少は評価できるようになるのではないかと思います。参加するか迷っている人は、まず参加することをお勧めします。

MSF派遣履歴

  • 派遣期間:2014年5月~2014年8月
  • 派遣国:エチオピア
  • 活動地域:アロレッサ
  • ポジション:ロジスティシャン

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