海外派遣スタッフ体験談

人事マネジメントで関係作りの重要性を知る

橋本 麻衣子

ポジション
アドミニストレーター
派遣国
パプアニューギニア
活動地域
ポートモレスビー
派遣期間
2016年4月~2016年9月

Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

1度目のマラウイ派遣が楽しく、やりがいがあったため、再度挑戦しようと思いました。タイミングとしては、前回の派遣が終わる頃から考えていました。

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

前回の派遣での疲れをしっかり癒やす事(家でだらだらと過ごすことが大事!)。家族や友達と時間を過ごしたり、研修に参加したり、次の派遣国の文化や習慣などを文献などで勉強したりしました。

Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

前回は、IEC(Information Education Communication)/ヘルス・プロモーターとして派遣され、患者さんに近いフィールドで働く苦労も経験していました。今回はほとんどの時間をオフィスで過ごすアドミニストレーターとしての派遣でしたが、ほかの海外派遣スタッフがフィールドでどんな苦労をしているのか分かった上で、マネジメントを助けることができたと思います。

また、自分の行う仕事がどのように、直接フィールドに影響していくのか、理解をした上で業務を行うことができました。

Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
MSFが活動しているゲレフー病院 MSFが活動しているゲレフー病院

結核対策プロジェクトで、病院と巡回診療との2つのチームに分れて活動を行います。結核は、長くて治療に2年を要し、それを中断することなく続けていくことが完治の要です。中断せず、適切な治療を患者がすすんで受けてくれるか、それをサポートしながら治療をしていくことが活動の中心でした。

私の業務は、現地スタッフ約35人の人事とプロジェクト全体の経理を主としていました。スタッフがすぐ辞めてしまったり、仕事に来なかったりすることが頻繁に起こったため、リクルートやスタッフ管理に多くの時間をさきました。

また、スタッフ間の絆を深めるためのバーベキューやスポーツ・イベント、プロジェクトでは何が達成されているのかといった成果をシェアするプレゼン・イベントを催すことも、アドミニストレーターの仕事でした。

Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

朝7時30分に、すべての海外派遣スタッフが宿舎を出てそれぞれの活動場所に車で移動します。私は7時45分にオフィスに着くと、メールチェックを行います。その後、日によって9時に銀行へ出かけたり、スタッフのインタビューを行ったり、書類作成等をしていました。

お昼は12時30分にオフィス内でランチを取り、1時15分から再び書類作成、現金勘定、出納帳記録/作成などの業務にあたります。午後5時30分にオフィスを出て、家に戻るスケジュールでした。

勤務外の時間は、宿舎でほかの海外派遣スタッフとおしゃべりをしたり、料理をしたり、映画をみることもありました。読書もしていました。

週末は外に食事に行くこともたまにありました。食料品の買い物や、古着屋へ買い物に出かけていました。ポートモレスビーでは治安上、MSFでは車以外での移動は禁止されています。また、行ける場所も安全管理のためかなり限られていて、自由に散歩もできませんでした。

Q現地での住居環境についておしえてください。

海外派遣スタッフは9人ほどで、同じ敷地内にある3つの家で、3人ずつキッチンとバスルームをシェアしていました。皆、個人のベッドルームがあります。

私がいた家では、9人皆が集まって夜ご飯を食べていました。断水することはほとんどなく、お湯も快適に使えました。停電はたまにありましたが、すぐジェネレーターを稼働するため、困ることはありませんでした。家は、建物自体は古くてねずみやゴキブリなどの被害に困ったことも少なくありませんでした。

Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
ともに働いたスタッフとともに ともに働いたスタッフとともに

現地スタッフの中にはとてもアグレッシブな人もおり、人事として困ったことも多くありました。いわゆる私の考える「常識」が通じず、遅刻が多かったり、仕事に来なかったりしたスタッフと話を始めると、突然攻撃的になって怖い思いをしたこともあります。

どうやったら落ち着いて話ができるか、納得してもらえるか、信頼を得ることができるか、悩んだ時期もありましたが、経験豊富なプロジェクト・コーディネーターが、よく耳を傾けて彼らと話しているのを見たとき、ああなるほど、と思いました。彼女は、とりあえず話を静かに聞いていました。すると、私が攻撃的だと思っていたスタッフは、ただ自分の意見を聞いて欲しかったみたいで、十分に自分の言い分を聞いてもらった後には、素直にプロジェクト・コーディネーターの話を理解しようとしていました。スタッフのマネジメントを通じて、自分自身の癖や性格も見る事ができたと思います。

Q今後の展望は?

次の派遣もアドミニストレーターとしての活動を希望しています。次回は、もう少し大規模なプロジェクトで活動してみたいです。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

MSFでの活動は、「人道援助」ですが、単純に援助だけしていればよいということではありません。ほかの海外派遣スタッフとの関係や、現地スタッフのマネジメントも大切であり、援助活動そのものに大きな影響を与えます。

短い期間で、よい関係をつくり、よいマネジメントをして、よいチームワークを持って、初めてよい活動が出来ると言っても過言ではありません。よい関係作りのために、誰かが歩み寄ってくれるのを待っているのではなく、自分から積極的にチームに入っていくことは大切です。

MSF派遣履歴

  • 派遣期間:2015年7月~2016年1月
  • 派遣国:マラウイ
  • 活動地域:ブランタイヤ
  • ポジション:IEC(Information Education Communication)

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