海外派遣スタッフ体験談
イエメンの全プログラムの財務を担当
熊澤ゆり
- ポジション
- アドミニストレーター
- 派遣国
- イエメン
- 活動地域
- サヌア
- 派遣期間
- 2009年10月~2010年10月

- Qなぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?
-
いままでも国際協力の各種現場で働いてきましたが、活動のありかた、組織のありかたなど受益者と自分たちの距離など常に疑問に思うことに直面し、より広い経験を積むことで自分なりに納得できる活動ができるのではないかと思ってきました。そのような中で各現場が機動性を持ち、一番NGOらしい活動をしているMSFにかかわりたいと思いました。
- Q今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?
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他のNGOおよび国連の活動現場で主にプログラム管理や運営、資金拠出者への報告などの仕事をしてきました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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MSFが支援していた病院の様子。
イエメンの首都事務所での財務コーディネーターとしてイエメンにおける活動全部のプログラムや首都事務所の財務を担当していました。主な役割は以下のとおりです。
- 各プログラムを含む活動全体の予算・修正予算づくり
- 毎月の予算の消化状況の把握、そして支出・領収書類の最終チェック
- 毎月の支出計画に基づく送金の手続き
- 事務所や宿舎の賃貸契約書など活動の運営に欠かせない各種契約書の管理
- 首都事務所の現金の最終管理
任期中に終了予定だったプログラムが予定よりも早く終了することになったほか、新たに3つのプログラムが立ち上がりました。また最後にはさらに2つの新プログラムの計画が持ち上がり、予算の具体的作成だけでなく、スムーズかつ適切に各プログラムの現場での支出やその管理ができるための体制作り(個々のプログラムの活動地への送金の方法の確立や、経理関係スタッフの雇用やトレーニングなど)も大きな仕事でした。
- Q週末や休暇はどのように過ごしましたか?
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国外への休暇
派遣先の隣国は出かけたことのない国が多かったので観光をしたり、イエメンで手に入らないものの買い物もしましたが、疲れているときには単にのんびりと読書や友人などへの手紙書きなど普段できないことをしている時もありました。
週末
世界遺産でもある首都サヌアの旧市街(事務所・宿舎から車で20分ほどのところ)を散歩したり、同僚、友人たちと外出、昼寝や読書をしたりしていました。趣味でヨガをやっていますが、同僚仲間にもヨガをやっている人がいて一緒に練習をしたこともあります。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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イエメンの首都サヌアの市街。
サヌア市内は治安もよく、事務所から徒歩30分ほどのところにある宿舎では、最大時には8人の外国人スタッフ(首都駐在のスタッフ)と一緒に生活していました。それぞれ個室と共有のバストイレ、台所、リビングルームなど必要なものはすべてそろっていました。週末以外は基本的に掃除・洗濯そして料理をしてくれる人がいたので仕事に専念できました。通勤は基本的にMSFの車での移動でしたが、どうしても運動不足になりがちなので帰宅時などはよく歩きました。宿舎は住宅地にありましたが、近所に個人経営しているような小規模なパン屋、食料・雑貨品店などもあったので帰りにちょっとした買い物をするのも楽しみでした。
- Qよかったこと・辛かったこと
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特別つらかったことはありませんでした。現地スタッフの同僚にとても恵まれていたこと、また特に任期の後半は、活動全体も、自分の拠点であったサヌアの事務所にも異なった国・経験を持つ人たちが派遣されてきて彼らから学ぶことが多かったので、とてもよかったです。
- Q派遣期間を終えて帰国後は?
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少々休憩を入れ、次の活動の機会を探します。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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現場でよい活動をするためには心身とも健康でなければなりません。職務に必要な知識や技能以外にも、異なった環境に対応できるための方法や力(心身の健康管理だけでなく、異文化にも対応できる柔軟な姿勢や心の持ち方など)も必要になります。異文化の、そして日本とは全く異なった環境の中でどこまで自分が柔軟になり、なおかつ自分を失わずにいられるかということを、考えてみるのもよいかもしれません。