欧州での安全な生活を夢見て......
2015年08月28日中東や北アフリカから欧州まで、古い漁船や時にはゴムボートで、命がけで地中海をわたってくる人びとがいます。終わらない紛争や抜け出せない極度の貧困で身の危険を感じた人びとが、生き延びて安全な生活を手に入れるための"最後の手段"と考えているのです。その航海途中で亡くなる人、体調を崩す人も後を絶ちません。国境なき医師団(MSF)はこの事態を重く受け止め、2015年5月から救助船3隻で、漂流船の発見・救助を行っています。救助された人びとの様子とMSFの取り組みを写真でお伝えします。
いま、地中海で起きていること——MSFによる救助活動開始から100日
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© Christophe Stramba/MSF 紛争や極度の貧困から逃れ、欧州での安全な生活を夢見る人びと。
ほかに道はないと思いつめ、地中海をわたる危険な航海の斡旋業者に身を預けてしまう。
到着先の多くはギリシャとイタリアだ。 -
© Anna Surinyach/MSF ほとんど身動きができず、まともに食事もとれない船内。
船底で窒息したり海に落ちたりした人がいるといういたましいケースも報告されている。 -
© MSF 地中海を漂流している船を捜すMSF、イタリア海軍、アイルランド海軍の合同チーム。
MSFは各国政府や諸団体と連携し、救助した人びとの診療や応急処置を行う役割を担っている。 -
© Francesco Zizola/NOOR 救助された650人もが乗り込んでいたボートから救助された赤ちゃん。
2015年5月~8月にMSFが救助した子どもは少なくとも700人を超えている。 -
© Anna Surinyach/MSF MSFの救助船に保護された母子。
極度の疲労と安心から深い眠りについた人びとの中で、母親は赤ちゃんをあやし続けた。 -
© Gabriele François Casini/MSF 配布された防寒着で身を包み眠り続ける男性たち。
ほとんどの人が、MSFの救助船に引き上げられてすぐに深い眠りに落ちていく。 -
© Gabriele François Casini/MSF MSFの救助船がイタリアの港に到着すると、そこには赤十字が待ち受けていた。
容体が深刻な人を運び出し、病院へと搬送する。 -
© Alessandro Penso ギリシャのコス島に漂着したシリア人難民の集団。
持参した救命胴衣を燃やして暖をとりつつ、地元の警察に気づいてもらえるようにアピールする。 -
© Mikael Mangold/MSF 漂着したギリシャで、難民登録の申請手続きについての情報が得られずざわつく人びと。
24時間以上、食事もできないまま待ち続けている。 -
© Eloisa D'orsi 漂着した地域から経済的により豊かな中欧・北欧を目指す人びと。
ギリシャ・マケドニア国境には連日、数百から数千人が到着し、混乱が起きている。
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© Francesco Zizola/NOOR 地中海でいま、こうした事態が日々繰り返されている。
航海途中の犠牲者は後を絶たず、到着後も過酷な生活が待ち受けている。
8月26日、MSFは新たに150人が乗り込んでいる漂流ボートを発見した。