アフリカ チャド湖周辺の人道危機

2019年10月30日掲載

アフリカ中央部のナイジェリア、チャド、カメルーン、ニジェールの4ヵ国にまたがるチャド湖周辺地域では、10年以上にわたり人道危機が続いている。武装勢力が各地で攻撃を繰り返し、450万人が避難を余儀なくされた。

避難民キャンプでは、多くの子どもたちが栄養失調に苦しんでいるほか、マラリアやコレラのような感染症の拡大も深刻だ。家族や村人が殺されるところを目撃し、心に傷を負った人も少なくない。

ナイジェリア

北東部では10年にわたって政府軍と武装勢力の争いが続く。190万人が避難生活を強いられ、770万人が人道援助に頼っている。

国境なき医師団(MSF)は、医療施設において、ER室、手術室、産科病棟、小児科病棟、外来病棟などをサポート。栄養治療、予防接種、心理ケア、性暴力被害者のケアなども展開している。コレラの流行にも対応し、2018年には2万6900人を治療した。

東側に接する隣国カメルーンからは、政治衝突を避けて、多くの人びとがナイジェリアへ避難。MSFは、難民キャンプなどで診療・治療を行うほか、清潔な水を提供する活動を行った。
 

チャド

5歳未満の子どもの死亡率が最も高い国の1つ。栄養失調が慢性化し、毎年、農作物の端境期には患者が増加する。また、マラリア、コレラ、E型肝炎などの感染症も流行している。

MSFはこれらの病気の治療・予防を提供しているほか、母子保健・産科医療やHIV/エイズ治療、心理ケアも行っている。反政府武装勢力と政府軍との紛争の激化によりチャド湖周辺地域で難民・国内避難民が急増しており、援助ニーズの高まりにも対応している。

MSFは、2018年に14万2400件の外来診療に対応し、8万2100人に対してマラリア治療を提供、また、1860件の出産を介助した。
 

カメルーン

© MSF© MSF

北西州と南西州で、政府軍と、英語圏の分離派武装勢力との衝突が激化。多くの人びとが住まいを追いやられ、人道援助のニーズが高まっている。また、極北州ではチャド湖周辺地域の紛争の影響を受け、多くの人びとが国内だけでなく隣国のナイジェリアへも避難している。

MSFは北西州と南西州で19の保健医療施設を支援。北西州のバメンダとウィディクム、南西州のブエアとクンバの4ヵ所では、医療行為を行える救急車による搬送システムを無償で運営。これにより、民間人の移動や活動を制限する封鎖や外出禁止令の時も、患者が病院に搬送されて専門的な処置を受けられるようになった。カメルーン全体で、2018年には8万3200件の外来診療に対応した。
 

ニジェール

© Innocent Kunywana/MSF© Innocent Kunywana/MSF

MSFはニジェールで、小児疾患や栄養失調の診療に力を入れている。2014年末以降は、ディファ県の紛争で被害を受けた難民・国内避難民、地域住民を対象とした医療援助も実施。マラリアなど感染症の流行時には緊急対応チームが出動し、保健・医療当局の疫学的サーベイランス(調査・監視)を支援している。

2018年には、2万2200人の子どもに栄養治療を提供し、17万3200人の人びとにマラリア治療を提供した。
 

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