イタリアとフランスを結ぶ「死の抜け道」 16歳の少女も命を落とした

2018年08月14日掲載

「死の抜け道」の途中、廃屋に書かれたフランスへの道しるべ「死の抜け道」の途中、廃屋に書かれたフランスへの道しるべ

イタリア国境から南フランスに続くコート・ダジュールは、多くの観光客でにぎわう風光明媚なリゾート地として知られている。しかし、アフリカから地中海を渡る過酷な旅をしてきた難民にとって、ここはフランスや他のヨーロッパ諸国へ行くための最後の関門だ。

2018年6月24日から25日にかけて、国境なき医師団(MSF)は協力団体とともに、フランス・イタリア国境沿いを視察した。この地では、以前から移民の権利が侵害されている。難民が進むのは、さまざまな危険が待ち受ける急な山道。「死の抜け道」と呼ばれている。
 

危険を承知で険しい道を進む

ヴェンティミリアの橋の下で過ごす難民の若者ヴェンティミリアの橋の下で過ごす難民の若者

フランス国境までわずか10kmのイタリアの町ヴェンティミリアでは、何百人もの難民が、再び移動できる機会を待ちながら橋の下でしのいでいる。検問の目を逃れ国境を越えようと、すでに20回も試みた人も少なくない。

前に大きな壁が立ちはだかっていても、彼らの覚悟と決意は揺らがない。しかしそれが、無茶をしていっそう大きな危険を冒すことにもなり、命取りになる恐れもある。
 

難民が進む急な山道を視察するMSFスタッフ難民が進む急な山道を視察するMSFスタッフ

「死の抜け道」は、フランスまで目と鼻の先にあるイタリアの村グリマルディから続いている。この険しい道は、第2次世界大戦時にイタリアの反体制派とユダヤ人が迫害を逃れ踏みしめた道だ。その同じ道を今、移民たちは警察の取り締まりを逃れながら重い足取りで進んでいる。  

「死の抜け道」に捨てられた難民たちの私物「死の抜け道」に捨てられた難民たちの私物

受けるべき保護も受けられず

「死の抜け道」は、ひっきりなしにトラックの走る車道と交差している。国境検問所職員の目をどうしても逃れたい難民は、無謀にも、夜の闇に紛れてそんなトラックに潜り込むこともある。ここで、ミレットという名前の16歳のエリトリア人少女が亡くなった。 

大型トラックが行き交う高架橋の向こうはフランス大型トラックが行き交う高架橋の向こうはフランス

国境沿いにあるフランスの村マントンとブリアンソンは、さらに北上を続けようとする人には危険な場所だ。2015年以降、未成年者を含む22人がそこで命を失った。故郷を追われた人びとは、やむにやまれず大きな危険を冒して前進しようとする。だが、フランス当局は在留許可を持たない全ての外国籍者に国境を閉ざし、庇護の申請をさせないようにして、彼らが受けられるはずの保護さえも、受けさせずにいる。

未成年者のミレットは、保護される資格があったはずだ。国がその正当な求めに耳を貸してさえいたならば……。
 

ナイジェリアからの移民女性は、列車に隠れていたところマントンで逮捕されたナイジェリアからの移民女性は、列車に隠れていたところマントンで逮捕された

関連情報