ボリビア:首都ラパスでの武力衝突、ようやく沈静化
2003年11月12日ボリビアの首都ラパス最大のクリニカス病院で活動していた国境なき医師団(MSF)のチームは、治安部隊と何万人もの政府反対派市民との1週間にわたる武力衝突の後、支援を再開した。この衝突は77人の死亡者と何千人もの負傷者を出し、ボリビアの国家機能を麻痺させた。
医療チームは医師2人、看護師1人を含む計6人からなる。「現在は非常に静かな状態です。人々は何が起るのかを見守ろうとしているのです」ボリビアの活動責任者であるシルビア・モリアナは10月17日(金)の夜、クリニカス病院に食糧と医薬品を運びながらこのように述べた。
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同じくMSFが支援するミラフロレス病院には、少なくとも135人の負傷者が運ばれた。同市内の他の病院も負傷者の治療にあたったが、その数は病院の収容能力を越えており、多くの病院が機材や医薬品不足に陥った。MSFは非常事態委員会に所属する他の国内外の組織に加わり、市民80万人を巻き込むこの騒動の中でも医療サービスが機能するよう協力した。またこの間、市内中心部のバスターミナルでデモから逃れているところを発見された約250人に対して食糧と毛布を供給した。
治安部隊と反対派市民との1週間にわたる衝突は、ゴンサロ・サンチェス・デ・ロサーダ大統領の辞任合意により収束した。ボリビアでは9月末以降、大量の天然ガスを輸出するという政府計画に反対する人々が増えていた。また、南米で最も貧しいこの国には、賃金引き上げ、農地改革、米州自由貿易地域(FTAA)構想からの撤退を求める人も多かった。
MSFはクリニカス病院で状況を見守りながら、現在の沈静状態が続くことを願っている。
MSFはボリビアで1986年から活動してきた。現在、ボリビアには7人のボランティアが派遣されており、エルアルトにある母子保健センターと、同国南部にあるシャーガス病治療・予防センターで活動している。