タイ:MSFは、好結果のHIVワクチン治験に慎重な歓迎を表明

2009年10月01日

1万6000人のボランティアを被験者として行ったタイでのHIVワクチン臨床試験では、ウイルス感染が3分の1減少し、今後に期待の持てる結果となった。国境なき医師団(MFS)は、HIVワクチン研究の新たな一章を開く取り組みとして、この知らせを歓迎している。


タイ

「顕著な効能を示した初のワクチン臨床試験として、今後のワクチン開発に希望を与えてくれます」と、バンコクでMFS必須医薬品キャンペーンに携わるポール・カーソーンは語る。「私たちはこの知らせに喜んでいますが、しかし諸手を挙げて歓迎するとまでは言えません。将来のワクチンとして有望視されているこの薬は、今のところ予防率30%に留まっているからです。また、ウイルスには変種が存在しますから、今回の治験で試されたワクチンが、アフリカ・サハラ以南諸国などHIV感染が特に深刻な地域で同様の成果をあげられるという保証はありません」

すでにHIVに感染している何百万という人々が瀬戸際の状態で治療を待っているという事実が、新ワクチン開発の裏に隠されてしまってはならない。世界全体では、早急に治療を必要とする感染者の7割が治療を受けられずにいる。たとえ有効なワクチンが開発されたとしても、この状況が変わるわけではない。

「ワクチンの発見は極めて重要であり、私たちも研究の進展を支援しています。もし十分な予防効果のあるワクチンが開発されたならば、リスクの高い人びとが皆、手頃な価格でそれを入手できるようにする必要があります」とカーソーンは付け加える。

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