海外派遣スタッフ体験談

アメリカ人より英語がうまい?!

竹中 裕

ポジション
産婦人科医
派遣国
ナイジェリア
活動地域
ジャフン
派遣期間
2013年9月~2013年10月

QMSFの海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

国境なき医師団(MSF)はライフワークなので、常に活動地に行くことを考えています。

また、MSFに参加してから今回で5回目のアフリカなのですが、どうやら僕はアフリカが好きになってきたようです。

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

ふつうに病院で産婦人科医として働いていました。英会話は地道に続けていました。(スカイプ英会話)

Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
産科救急患者の手術に追われる日々。 産科救急患者の手術に追われる日々。

MSF自体に慣れました。共同生活や、英語での日々の生活など。

仕事の面では、いわゆる、「熱帯での産科医療」にも慣れてきました。(妊婦さんのマラリアや、まったく妊婦健診を受けていない妊婦に対する診察、日本では考えられないような疾患—たとえば、子宮破裂など—に対する対処など)

Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

産科救急を担当するプログラムです。チームはアドミニストレーター、ロジスティシャン、薬剤師、看護師、プログラム責任者、麻酔科医、産婦人科医、医療チームリーダーと、だいたい5~10人ぐらいの編成でした。外国人や富裕層の誘拐事件も起きていたため、西洋人はおろか、非アフリカ人の海外派遣スタッフは僕だけでした。現地に赴く前は治安に不安を抱きましたが、行ってみると平和でした。

僕の仕事は朝の回診、その後は病棟での救急患者の対応およびオペ室での手術症例、2日に1回のセカンド・オンコールの担当でした。

産科救急にはことかかず、子癇、常位胎盤早期剥離はほぼ毎日診ました。そのほか、子宮破裂、胞状奇胎、周産期の心筋症、双胎、骨盤位の分娩、吸引分娩、子宮内反、胎盤遺残、子宮外妊娠など、多彩な症例を経験しました。

実は、2年前にも同じプログラムで活動したことがあります。その時は、自分自身も初めての海外派遣活動だったので、今から思うと、いろいろ戸惑いながらやっていたように思います。症例や仕事の内容はあまり変わりませんでしたが、自分自身が変わったことを実感しました。

Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

6時起床。朝食。8時から回診。あとは13時頃まで病棟で患者を診て、その後は昼食。14時に再び病院。18時帰宅。シャワーと夕食。セカンド・オンコールなら、手術があれば病院へ。オンコールでなければ、翌朝までフリーでした。21時頃には寝ていました。

毎日仕事はしていましたが、暇なときは、読書したり、インターネットをしたり、あるいは寝ていました。

Q現地での住居環境についておしえてください。

個室でした。扇風機もあり、毎日洗濯とアイロンもしてもらっていました。

クーラーは共同の部屋(居間)にありましたが、部屋にはありませんでした。TVも居間にありました。水洗トイレはありましたが、シャワーは水で、ホットシャワーはありませんでした。

食事は土日も作ってもらえました。虫が多かったです。また宗教上の理由で、ほとんどお酒は手に入りませんでした。

Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
スタッフとのコミュニケーションも上達。 スタッフとのコミュニケーションも上達。

2年前にも同じプログラムに参加し、それが僕のMSFでの初の海外援助活動でした。その時はまだMSFについてよく知らず、熱帯の産科医療についてもよく知らず、かなり気を張って過ごしていたと思います。

それに比べ、今回はかなりリラックスして過ごせました。その1つの要因として、英会話が格段にうまくなったことがあげられます。計1年を活動地で過ごし、日本に帰ってもこつこつとオンライン英会話を続けていたかいがありました。

2年前の僕は、現地スタッフや、ほかの海外派遣スタッフとのコミュニケーションにも一苦労でした。今回は、現地のスタッフから「お前の英語はわかりやすくていいよー、ヨーロッパ人やアメリカ人よりもお前の方が英語うまいな」とほめられました。アメリカ人より英語がうまいかどうかは別にして、単純にうれしかったです。

Q今後の展望は?(次回の派遣を考えている方は、それまでにしたいこと、新たな挑戦など)

国際協力機構(JICA)での活動
不妊治療の勉強

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

今まで僕が経験した範囲で言うと、日本人の仕事ぶりはかなり高く評価されています。特に、現地のスタッフからの評判がいいです。

世界はあなたを求めています。

MSF派遣履歴

  • 派遣期間:2013年7月~2013年9月
  • 派遣国:ソマリア
  • プログラム地域:ソマリランド、ブラオ
  • ポジション:産婦人科医
  • 派遣期間:2012年11月~2013年2月
  • 派遣国:シエラレオネ
  • プログラム地域:ボー
  • ポジション:産婦人科医
  • 派遣期間:2012年7月~2012年8月
  • 派遣国:南スーダン
  • プログラム地域:アウェイル
  • ポジション:産婦人科医
  • 派遣期間:2012年2月~2012年4月
  • 派遣国:パキスタン
  • プログラム地域:ペシャワール
  • ポジション:産婦人科医
  • 派遣期間:2012年2月~2012年2月 
  • 派遣国:スリランカ
  • プログラム地域:ムライティブ県
  • ポジション:産婦人科医
  • 派遣期間:2011年9月~2011年11月
  • 派遣国:パキスタン
  • プログラム地域:ペシャワール
  • ポジション:産婦人科医
  • 派遣期間:2011年6月~2011年7月
  • 派遣国:ナイジェリア
  • プログラム地域:ジャフン
  • ポジション:産婦人科医

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