コンゴ民主共和国:足りない水、相次ぐ火災、幼い子どもたちに病気が広がる

2017年09月13日
避難生活を送るフランシーヌさん=州都カレミ郊外

アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国。その南東に位置し、タンガニーカ湖に面するタンガニーカ州ではここ1年ほど、対立する勢力が争いを続けている。その結果、避難生活を余儀なくされている人の数は50万以上に上る。

その半数は、州都カレミとその周辺に集中。暴力行為が発生した7月、州都の外のキャンプにいた人たちは、州都の中へと逃げ込んだ。身を寄せる親類も友人もいない人びとは、学校などの建物に避難している。

多くの人たちは地面で眠る。蚊帳を吊っただけの劣悪な環境だ。

「襲撃を何度も生き延び、避難先を変え続けている人たちです。避難のたびに所持品を失い、手元に何も残っていない人も少なくありません」。MSF緊急対応コーディネーターのステファヌ・レニエ・ド・モントローは話す。

行政当局は、避難民に対して、授業が再開されるまでに校舎やその周辺から立ち退くよう求めている。だが、今後の見通しは立たない。

幼児に病気が広がる

MSFは非公式キャンプ17ヵ所で医療援助をしている。計約21万人の国内避難民が身を寄せる。過去3ヵ月で1万6410件を診療。大半は5歳未満で、マラリア、栄養失調、はしかの症状だった。

4月からは移動診療を展開。患者の半数近くがマラリアにかかっていた。「1日の診療は平均60件にも上ります。高い需要があるんです。近く、常設の救護所で週5日ケアを始めます」とMSFのモントローは話す。

安全な水が足りない

MSFは移動診療を展開し、石鹸やタオルなど必需品も配っている。

だが、保健医療を提供すれば問題が解決するわけではない。安全な水が依然として不足している。水を媒介する疾患や疾病が流行するリスクが残る。

疾病の流行を予防するには、避難民1人当たり1日20リットルの水が必要となる。州都カレミのキャンプで過ごす避難民全体には毎日計400万リットルの給水が欠かせない。

これはMSFが1ヶ月でなんとか配れる量。MSF緊急対応ロジスティック・コーディネーターのイヴァン・クウェンティンはこう話す。

「現地で活動する他の団体の給水量を合計しても、まったく足りません。危機的事態の最初の数日間に必要となる緊急水準すら下回っています。他の団体が次々に助けに入らなければ、今後、必要な量を確保するのはとても難しいでしょう」

火災が相次ぐ

5000以上の世帯が生活するカレミ郊外のカロンダ

60歳のアナスタシアさん。8人の子の母親だ。
各地を点々と避難し、たどり着いたカブビリでは火災で家を失った。
「私はもう年で、とても辛いです。ここには十分な食料も水もありません。
将来の見通しはまったくたちません」

避難民はワラで小屋を作り、寝泊りしている。十分な土地がないため、小屋は間隔を開けずに、ずらりと並ぶ。管理が行き届いていないことと相まって、火災が発生しやすく、一度火災となれば、炎が瞬く間に燃え広がる。ここ1ヵ月で、少なくとも5ヶ所で火災が起きた。

「先日はカタニカで火災が起きました。あれが夜間に起きていたら、壊滅的な被害が出ていたでしょう。1時間足らずで、キャンプの4分の3が炎にのまれてしまいました。数人が軽傷を負っただけですんだのは奇跡です」。MSFのレニエ・ド・モントローは話す。

病気を招きかねない過密状態

いま雨期が急速に近づいている。だが、人びとは清潔な水も十分に確保できないままだ。住まいも過密状態になっており、コレラの流行が危ぶまれている。

コレラはこの地域の風土病でもあるため、MSFは必要に応じた医療援助ができるように準備を整えている。集団予防接種も計画している。

現地の治安状況も予断を許さない。人びとは広がる暴力行為を避け、安全を求めて州都カレミとその周辺に逃げてきている。避難民は悲惨な生活環境に置かれている。

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