356人を救命 地中海で活動再開 間一髪の救出劇も
2019年08月13日
地中海における海難捜索・救助活動を再開した国境なき医師団(MSF)は8月9日から4日間で、356人を救助した。うち92人は18歳未満だった。アフリカ12カ国からリビアを経由し、安全な暮らしを求めてヨーロッパを目指した人たちだ。
初日9日
MSFは市民団体SOSメディテラネと船「オーシャン・バイキング」号を共同運航し、7月末に地中海中部の海域に入った。
そして救助初日。航行して10時間も経たずに、ゴムボートを発見し、救助作業を開始した。ある国の哨戒機が発見し、連絡を受けたものだった。
2時間に渡る救助作業で、85人を助け出した。
10日
それから24時間も経たない10日朝、白いゴムボートに乗った85人を救出した。
UPDATE: This morning we rescued 85 people. Almost half of them were minors traveling alone – and a concerning percentage between the ages of 13 and 15 years old.
— MSF Sea (@MSF_Sea) August 10, 2019
The #OceanViking now has a total of 170 rescued people on board.#BactAtSea pic.twitter.com/i7QyXP05yB
「初日のボートの人たちは2日間は水を飲んでおらず、脱水症状がありましたが、救出後24時間以内にほぼ全員が回復しました。2日目のボートの人たちは3日は海にいて、救出すると崩れ落ちる人もいました」。医療チームリーダーのステファニー・ホフシュテター(31歳)は話す。
11日
11日、青いゴムボートに乗った81人を救出。
12日
12日にもボートを発見した。
ライフジャケットを渡した数分後にこのボートは破裂。乗っていた人たちが海に投げ出されたが、105人全員を救出することができた。
BREAKING: @SOSMedIntl and @MSF_Sea just completed a critical rescue. Minutes after lifejackets were distributed, a rubber tube on the fragile boat burst, causing people to fall into the water. All 105 people are now safely on the #OceanViking, where the total onboard is now 356. pic.twitter.com/l9uXmhRv9u
— MSF Sea (@MSF_Sea) August 12, 2019
こうして助け出した人たちの国籍は12カ国にのぼる。すべてアフリカの国で、エリトリア、エチオピア、ギニア、チャド、ガンビア、コートジボアール、リビア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スーダン、南スーダン。
国際移住機関(IOM)によると、今年はこれまでに1万隻以上が地中海中部を渡ろうとし、少なくとも578人が死亡した(8月12日現在)。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、リビアを脱出しようとした移民・難民計4721人が地中海で拿捕され、強制的に連れ戻された(8月9日現在)。リビアの強制収容所には4700人が収容されているとみられるという。
「(リビアで)奴隷のように働かされたり、拷問を受けたりしたと皆が打ち明けます」。オーシャン・バイキング号に乗るMSFの人道問題渉外担当のユカ・クリックマー(30歳)はこう話す。「リビアでもう一日苦しむことになるぐらいなら、海で死ぬほうがいいと言うのです」
ヨーロッパ諸国は、積極的に救助活動をすることも、MSFのようなNGOの活動をサポートすることもない。反対にリビアが移民・難民を連れ戻す活動を支えている。
MSFは今も救助活動を続けている。