【動画】女性に安心できるトイレを、子どもたちにきれいな水を—国境なき医師団、ガザで地元団体とともに給水とトイレ、医療を提供

2024年09月18日

パレスチナ・ガザ地区での10カ月以上にわたる戦闘で、190万人以上が避難を余儀なくされている。イスラエル軍が退避要求を出すとすぐ移動しなければならないことも多く、人びとは持ち物を失い、清潔な水やトイレの確保もままならない状況に置かれている。南部ハンユニスのマワシ地区では、パレスチナ農業開発協会(PARC)が国境なき医師団(MSF)の支援を受け、避難してきた人びとに仮設トイレやソーラー式ポンプシステム、水処理プラント、テントなどを提供している。 

とりわけ厳しい女性、障がい者、高齢者

マワシ地区で避難生活をおくる人びとは、ほこりだらけのテントで複数の家族が過密状態で暮らしており、食料や水、衛生や医療などの基本的なサービスを十分に受けられない状況にある。人びとは水を得るために何時間も列に並ばなければならず、トイレに行くのにも並ばなければならない。定期的にシャワーを浴びることもできない。

イスラエル軍による退避要求が繰り返されたことで、人びとは持ち物を一切持たない状態に追い込まれた。多くの人は石けん1個さえも持たず避難してきた。時間的な猶予もほとんどなく急に退避させられることを余儀なくされており、これは障がい者や子連れの女性、高齢者にとって、特に困難な状況だ。

人びとに給水とトイレ、医療を提供

皮膚疾患が増える中、MSFが支援するPARCは、身体に障がいがある人向けを含め300基以上のトイレを建設し、3基のソーラー式給水ポンプシステムを設置し、人びとに基礎医療を提供した。 

PARCの小児科医 ユーセフ・アルファラ ©Nour Daher/MSF
PARCの小児科医 ユーセフ・アルファラ ©Nour Daher/MSF
「生活環境は極めて厳しいです。私たちは毎日、クリニックで300~400件の症例を目にしていますが、そのうち200件は皮膚疾患に関連しています」とPARCの小児科医、ユーセフ・アルファラ医師は説明する。 

「子どもたちが最も大きな影響を受けており、特に感染力の強い皮膚疾患が問題となっています」 

7月1日から8月21日までの間に、イスラエル軍はガザ地区で少なくとも16件の退避要求を出した。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、8月1から16日までの間に21万3000人が影響を受け、ガザ地区の86%が退避要求下にある。 

ラシャ・ミスベさん ©Nour Daher/MSF
ラシャ・ミスベさん ©Nour Daher/MSF
「きれい水がないため、病気がまん延しています」と、ラシャ・ミスベさん(24歳)は説明する。 
 
「子どもたちは顔や体のかゆみに悩まされています。皮膚疾患の影響を受けていない子どもは一人もいません。みんなが密集して暮らしているため、状況が悪化しています」   

スタッフと物資の安全なアクセスの自由を

MSFは3カ月間、衛生キットを4千セット搬入し、ハンユニスの人びとの生活環境を改善しようとしてきた。

このキットには、石けん、歯ブラシ、シャンプー、洗濯洗剤といった基本的な日用品が含まれている。ガザではこうした日用品が不足しているため、法外な値段になっている。しかしイスラエル当局はこれらの搬入を止めてきた。 

MSFは即時停戦を求めるとともに、スタッフと物資がガザ各地に安全にアクセスできるよう求めている。 

©Nour Daher/MSF
©Nour Daher/MSF

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