レバノン:シリア人難民を追い詰める極寒の季節
2015年02月12日国内での抗議デモに端を発したシリア内戦は、4年を経た現在も収束の気配すら見えません。国外に避難した人は380万人を超えています。その最大の受け入れ先がレバノンで、シリア人難民数は国全体の人口の2割を占める規模となっています。
レバノンはシリア人難民の受け入れを公式には認めておらず、各地の難民キャンプも非公式で運営されています。生活物資や飲料水が乏しく、緊急医療さえ行きわたらない状況で、人びとは極寒の季節に耐えています。現状を写真でお伝えします。
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© Ghazal Sotoudeh/MSF シリア内戦の勃発から4年。
レバノンの非公式の難民キャンプで、過酷な生活環境に耐えている人びとがいる。
2015年1月、大勢が身を寄せるベッカー高原に、冬の嵐が雪、ひょう、氷霧を運ぶ。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 不安定な生活環境。
冬は極寒、夏は酷暑と、厳しく極端な気候にさらされる。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF どの季節でも極端な気候はやって来る。
冬の夜は凍てつき、大雪は粗末なテントを押しつぶすことさえある。
夏は猛暑を避けられない。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 劣悪な環境の非公式・難民キャンプが国内全域に点在している。
キャンプが急造された場所は、空き地や廃虚、車庫、農園の納屋などだ。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 雨が降るたびに洪水と土砂が発生する。
多くの人が、緊急医療さえほとんど受けられずにいる。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 雪と雪解け水を踏み越えていく子どもたち。
2014年1月17日、ベッカー高原の町バールベック近郊。
ホデル・ハワシュ仮設難民キャンプにて。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF ホデル・ハワシュ仮設難民キャンプで干された洗濯物。
辺りを氷霧が包む。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF ビニール袋など、燃料として使えそうなものを集める子ども。
氷点下の気温がベッカー高原を襲った。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 雪と泥と雪解け水の中を行く幼い子どもと家族、氷点下の気温が人びとを苦しめる。
シリア人難民の間では、呼吸器感染症が広がりつつある。
その原因は、厳冬と極めて劣悪な生活環境だ。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF ファトマさん(31歳)の娘は、食欲がなくせきが続いている。
バールベックのMSF診療所の医師には、気道感染症と胃腸炎と診断された。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 厳しい寒さは収まったが、難民がかかりやすい病気のリスクはやはり高い。
過密状態のキャンプではストーブでやけどする危険も大きい。 -
© Ghazal Sotoudeh/MSF 人びとは雪を火にかけて飲み水を作り、厚紙やビニール類で暖をとる。
ストーブを持っていても、薪や燃料がない。
テントの中でも凍えそうで、家族分の毛布を確保するだけで精いっぱいだ。 -
© Diego Ibarra Sánchez MSFは1月最終週、アッカール郡でも冬の必需物資を配布した。
この地域で活動している援助団体はわずかだ。
人びとはシリアへ強制送還される不安を感じている。 -
© Diego Ibarra Sánchez アッカール郡では、突き刺されるほど寒い山間部の村落を中心に配布活動を行った。
計約900世帯4700人が、ストーブ、燃料、毛布を受け取ったことになる。