「やっと赤ちゃんに名前を付けられる!」助かった赤ちゃんの命 お母さんも喜んだ

2018年12月07日掲載

患者さんであふれるシモン・メンデス国立病院。© Raul Manarte/MSF患者さんであふれるシモン・メンデス国立病院。© Raul Manarte/MSF

アフリカ西部の大西洋に面した国、ギニアビサウ(首都ビサウ)。世界でも、最も貧しい国の1つだ。この国には、満足な医療を受けられない人たちがたくさんいる。政治情勢が不安定で、医療体制も大きな打撃を受けているためだ。医療従事者も不足しており、患者を搬送する体制も整っていない。

特に大きな影響を受けているのは、幼い子どもと女性たちだ。国境なき医師団(MSF)は、国の基幹病院であるシモン・メンデス国立病院で、小児診療プロジェクトを始めた。この病院では、MSFから治療を受けたことで、助かった小さな命がたくさんある。いずれの子どもたちも、入院時は重体だった。今は元気に回復し、退院を控えた子どもたちの家族の声を紹介する。 

元気になった生後間もない娘 名前を付けられる喜び

生後13日の娘を抱く母親のサジョさん(左)。 © Raul Manarte/MSF生後13日の娘を抱く母親のサジョさん(左)。 © Raul Manarte/MSF

サジョさんは、シモン・メンデス国立病院の産科病棟で、帝王切開で女の赤ちゃんを産んだ。赤ちゃんは重度の呼吸困難になっていたため、その日のうちに新生児集中治療室に移された。MSFの医療チームは、赤ちゃんの敗血症を疑った。これは、赤ちゃんが胎便(胎児が最初に出す便)を吸い込むと、よく引き起こされる深刻な感染症である。

3日間の経過観察でも、赤ちゃんの具合はよくならなかった。熱があり、脚もはれて、ひきつけを起こしていた。神経系の感染症確認のため、腰椎穿刺(ようついせんし)をし、その後、適切な抗菌薬を処方された。すると、赤ちゃんの具合は少しずつ良くなっていった。サンジョさんは、もうすぐ赤ちゃんを連れて家に帰れる。やっと、赤ちゃんに名前をつけてあげられるのだ!今、そのことを心から楽しみにしている。  

熱も出て、呼吸も大変そうだった生後5ヶ月の息子

生後5ヶ月のアマドゥくん。© Raul Manarte/MSF生後5ヶ月のアマドゥくん。© Raul Manarte/MSF

「熱が出て、呼吸も大変そうでした」と、アマドゥくんのお父さんは説明する。アマドゥくんは、急性ウイルス感染による細気管支炎になっていた。この病気は、生後2~8ヵ月の赤ちゃんに影響する。重度の呼吸困難だったため、アマドゥくんはシモン・メンデス国立病院の観察室に運び込まれた。小児集中治療室か小児入院病棟に移した方がよいと決まった。だが、ベッドと酸素療法装置に余裕がなかったため、通常よりも長い4日間、観察室で治療を受けた。酸素吸入をしてもらえるようになり、他の病気を併発しないですんだ。 

重い肺炎にかかった孫

肺炎の治療を受けた4歳のジャヌちゃん。© Raul Manarte/MSF肺炎の治療を受けた4歳のジャヌちゃん。© Raul Manarte/MSF

「この子は何も食べなくなってしまいました。『ナイフで胸を刺されたみたい。痛い、痛い』と泣いてばかりでした」と、ジャヌちゃん祖母は話す。孫は重い肺炎にかかっていて、肺に水もたまっていたため、治療を受けなければ命に関わる状態でした。市内の別の病院で最初に診察を受けてから、シモン・メンデス国立病院の小児病棟に搬送されました。

治療にあたったMSFのチームは、肺にたまった水を抜き、肺炎を治療しました。ジャヌちゃんは、15日間を小児集中治療室で過ごした後、小児病棟に移された。間もなく、退院する。

ギニアビサウでは、5歳未満の子どもの場合、呼吸器感染、マラリア、下痢、髄膜炎などに感染するケースが多い。全て命に関わる病気だが、適切な治療を早く受けられれば、回復することがほとんどだ。

国境なき医師団(MSF)は、援助するシモン・メンデス国立病院で、小児救急科や小児・新生児のための集中治療室、入院栄養治療科などを運営している。生後28日までの新生児が合併症になる場合、その原因の多くは分娩にあることが多く、お母さんに対するリプロダクティブ・ヘルスケアなど、産科病棟との更なる連携が必要だ。また、集中治療室に受け入れている子どもでは、HIV感染した症状を併発していることも多く、HIV/エイズの予防活動にも力を入れる必要がある。 

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