海外派遣スタッフ体験談

栄養不良児を救う緊急ミッション

森山秀徳

ポジション
小児科医
派遣国
エチオピア
活動地域
リベン
派遣期間
2011年11月~2012年3月

QなぜMSFの海外派遣に参加したのですか?

大学生の時に休暇を利用して海外への一人旅をよくしていて、その時から海外に興味を持つようになりました。時を同じくメディアからMSFを知るようになり、それ以来MSFで働きたいと漠然と考えていました。実際に医師になった後、より具体的にMSFに参加したいと思うようになり、小児科医として一通り経験を積んだ後に参加することを決意しました。

Q今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

臨床研修終了後は日本のこども病院で小児科医として働いていました。その後、MSFで働くのに重要な熱帯医学の知識を得るために海外で熱帯医学を勉強しました。実際現地で働いた時には日本で見ないような病気が多く、その知識がとても役に立ちました。また海外で生活し、外国の人と実際に過ごした経験があったおかげで、一緒に働く現地のスタッフや文化の違う同僚とのコミュニケーションの際に、自信を持って接することができたと思います。

Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

難民キャンプの栄養不良児のための緊急ミッションでした。エチオピア・リベンの難民キャンプには、ソマリアからの難民が住んでいます。そのキャンプで栄養不良児を治療していました。

栄養不良の程度が軽い子どもは外来で治療し、程度の重い子どもは入院させてから栄養不良児用の特別な治療をしていました。自分は主に、現地の医療スタッフと共に入院患者を診察し、治療していました。栄養不良の子供たちは栄養不良だけでなく、感染症や脱水などを伴うことが多いのでその治療も並行して行っていました。

一方、現地の医療スタッフを教育することも大事な役割の1つでした。教育としては、現地スタッフに対しベッドサイドトレーニングやレクチャーなどをしていました。現地の医療スタッフのマネジメントも仕事の1つでした。

Q週末や休暇はどのように過ごしましたか?

現地には娯楽はほとんどなく、環境も過酷なため、週末にいかに充実した時間を過ごせるかが大事でした。実際には日本から持っていった本を読んでいることが多かったです。また、エチオピア人はとても人懐っこく優しい性格のため、一緒に住んでいた現地スタッフと仲良くなり、一緒に談笑したり音楽を聞いたりしていました。土曜日の夜は、週に1回だけ大音量の音楽と共にダンスができ、みんなでエチオピアの現地の踊りも交えながら踊っていました。

Q現地での住居環境についておしえてください。

難民キャンプの近くに敷地を確保し、そこでスタッフはテント暮らしをしていました。だいたい1つのテントに2人で住んでいました。テントには電気がなく、夜は懐中電灯をつけていました。テントは夜にはそれほど暑くないのですが、昼間は暑すぎるためにテント内にいることはできなかったです。蚊も多くいたため、刺されないようにするのに苦労しました。シャワーやトイレはあまり不自由しなかったですが、人数の割に数が少なく並ぶことも多かったです。基本的に、セキュリティーにより外出禁止だったために、そこにあるものでいかに満足できるかを考えながら過ごしていました。

Q良かったこと・辛かったこと

住環境があまり良くなかったので、それが辛かった点です。仕事面では、以前のミッションでは現地のスタッフはあまり真面目に働かなかったですが、エチオピアでの現地のスタッフは比較的よく働いてくれたので、そこはあまり苦労しませんでした。

MSFのミッションに参加して良かったことはマネジメントを学ぶことができたことです。日本ではあまり実践的に学ぶことは難しいですが、いろんな国の人をまとめるMSFにはマネジメントが必須なので、実際に経験することで自分に身についてきたことはとても良かったです。また、日本で見ないような感染症や疾患を経験できたこともとても勉強になりました。様々な国の人たちと仕事ができ、いろいろな文化を共有できたことも良かった点です。

Q派遣期間を終えて帰国後は?

まずは東北の被災地のために役立てればと考えています。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

希望するのであれば是非とも諦めずに頑張って欲しいと思います。まずは行動として一歩を踏み出すことが大事だと思います。

MSF派遣履歴

  • 派遣期間:2011年3月~2011年10月
  • 派遣国:南スーダン
  • プログラム地域:アウェイル
  • ポジション:小児科医

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