海外派遣スタッフ体験談
途上国医療への思いをMSFの活動で実現
保野 由紀子
- ポジション
- 産婦人科医
- 派遣国
- ナイジェリア
- 活動地域
- ジガワ州ジャフン
- 派遣期間
- 2016年6月~2016年9月

- Qなぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?
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医学生時代、どこの科に進もうか考えていた時に、開発途上国で医療をしたいと思い、途上国で活動機会が多い産婦人科を選んだのですが、医師となり13年が経過してもこの思いは消えずにあったので、今回、思い切って応募しました。
また、産婦人科医師として働きたかったので、産婦人科医師のニーズが高いMSFに応募しました。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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今回、派遣期間中は職場で休職扱いとしていただけたので、派遣の1週間前まで通常通りに働いていました。語学トレーニングはラジオで英語をきいていました。
- Q今までどのような仕事をしてきましたか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?
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産婦人科研修を2年、その後、市中の病院で研修を積み、6年目で大学に戻り、大学院で研究の傍ら臨床をし、その後、大学病院の産婦人科医として産婦人科診療に従事してきました。
どのような経験もすべて無駄ではないと思いました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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帝王切開手術を行う筆者(右)
私が従事したのは主に産婦人科救急です。現地医師から帝王切開などの相談があれば、話し合い、手術が決定すれば執刀していました。産婦人科医の海外派遣スタッフは2人で、この他に、隣の州から1週間だけ来ている現地の産婦人科医とあわせ、平日は3人で交代して診療に従事していました。
子宮破裂や額位(がくい)、肩甲位などのなかなか見かけない胎位異常含め、最近の日本では見かけない症例を多く扱いました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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朝8時から集中治療室(ICU)と分娩待機室の回診後、3人で日勤、夜勤、オフと振り分けて働いていました。夜勤後はオフとなり、体を休められたのでよかったです。日勤も、現地医師が病棟回診を終える昼12時以降に何もなければ、いったん宿舎に戻っていました。
オフの日は、WiFiが使えたのでインターネットをしていました。夜はみんなでカードゲームや映画鑑賞などをしていました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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スタッフとレストランへ行くことも
シャワーやトイレは共同で使用し、部屋は個室が使えました。食事も私たちが食べやすいようなピザなどを現地のコックさんが作ってくれました。季節にもよりますが、マンゴーやスイカなどフルーツをたくさんいただきました。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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症例が多く、産婦人科医として自信がさらにつきました。苦労したことは、英語が通じないことがあったり、アクセントが強くて聞き取れなかったりしたことです。思った以上にみんなが早口でしたが、何度も聞き返して理解するようにしました。オンコールはかなり呼ばれ、疲れました。
- Q今後の展望は?
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1年に1回はMSFでの活動を続けていきたいと思っています。そのためにさらなる英語のスキルアップをしたいと思っています。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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不安はいろいろあると思いますが、とりあえず、挑戦することをすすめます。そうすると今後自分がどうしたらよいか、見えてくるものがあります。