海外派遣スタッフ体験談

栄養治療プログラムで移動診療チームを監督

松本明子

ポジション
正看護師
派遣国
ウガンダ
活動地域
カボング県
派遣期間
2007年12月~2008年8月

QなぜMSFの海外派遣に参加したのですか?

通院栄養治療プログラムに参加することで、今までの経験と新しい取り組みを比較して栄養失調や栄養不良への専門性を高めたかったからです。

Q今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

アンゴラ、アフガニスタン、ケニア、ジブチで、他のNGO団体の活動に参加しました。内容はマラリア治療プログラム、難民キャンプや病院での栄養失調改善プログラム、帰還難民に対する医療援助プログラム、地域社会に対する衛生・予防啓発活動、プログラムのマネージメントやロジスティック関連などです。日本では、主に救急、慢性疾患、小児医療に従事していました。

今までの経験が、今回の派遣で、下記のいろいろな面で活かせました。

  • マネージメント (プログラムやスタッフ)
  • 緊急時の医療対応
  • 安全に関する情報収集とその対応
  • 地域社会での活動 など
Q今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

安全に関する規定が厳しい中、通院栄養治療プログラムを11ヵ所の栄養治療センターで行いました。移動診療チームの監督というポジションで、チームのマネージメントや利用者とその家族のケア、新しい栄養治療センターの開設、保健省の看護師や現地スタッフに対する訓練・指導、栄養治療センターでの診療、データ管理、地域の調査などを幅広く行いました。看護師、医師、フィールド・コーディネーターやロジスティシャンと議論を行い、プログラムの改善と向上を図りました。
安全に関する情報収集や状況判断も業務の一部でした。

Q週末や休暇はどのように過ごしましたか?

週末は、日中はピクニックやショッピング(らしきもの)、他のNGOの方々とランチをしました。夜7時以降は外出禁止のため、映画を見たり、カードゲームをしたり、バーベキューをしたり、または各自の時間を過ごしたりしていました。なるべく仕事をしないようチームで心がけました。 休暇は、ウガンダの国内やケニアを旅行しました。

今回のように治安の不安定な活動地に派遣された場合には特別休暇がもらえます。その際には、活動地で必要な食品の買い出し、インターネット、レストランで食事などをしてリフレッシュしました。

Q現地での住居環境についておしえてください。

敷地内にオフィスと「トゥクル」という伝統的なわらぶき屋根の小屋がありました。古株?はトゥクルを選べるので、私はトゥクルにいました。派遣者各自に一部屋が与えられ、MSFの支部や首都からの訪問者が来れば、ルームシェアをするという状況です。町全体に電気がないため、太陽電池と発電機で供給していました。水に関しては水担当のチームが毎日、公共の水汲み場から500リットル以上の水を運んできたものを塩素消毒して使っていました。お風呂については、バケツシャワーです。食事はコックさんが朝食と日曜日以外は用意してくれました。洗濯は掃除の方がしてくれるので助かっていました。

リビングの代わりに大きめのトゥクルがあり、そこからの景色は最高でした。
オフィスから見る夕陽は最高で、チームは「カボング・ロッジ」と呼んでいました。

Q良かったこと・辛かったこと

良かったこと:

チームのプロフェッショナル意識が高かったことや、現地スタッフの仕事への意欲が高かったため、プログラムがうまく進行していたこと。また、やりたいことに対して説明、理由がしっかりしていれば、予算や計画書の途中変更・追加が可能であったことです。

辛かったこと:

到着してから1ヵ月間は、「今までの経験は何だったのだろう」と自信喪失になるほどMSFという組織に慣れるのが大変でしたが、チームとプログラムがよかったので、乗り越えられました。

Q派遣期間を終えて帰国後は?

2ヵ月くらいは自分がしたいことをし、旅行や友達に会ったり、新しい情報を収集したりして、次の海外派遣の仕事を見つけます。MSFか他のNGOかは、タイミングしだいです。

まだまだやりたいことや行きたい国があるので、現在は日本で仕事を見つけることを考えていません。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

MSFに参加するということは、ボランティアとは違います。給料をもらうので仕事です。なぜMSFがここで活動をしているのかというプログラムの意義や、チームでいいプログラムにしていくためにはどうしたらいいのかということを、活動地で考えながら仕事とプライベートを楽しんでください。いろいろな発見があります。

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