エボラが再び流行するコンゴ民主共和国 MSFが赤道州で支援を開始

2022年05月24日
MSFの医師とコンゴ保健省のスタッフ。ワンガタ保健区のエボラ治療センターにて Ⓒ MSF
MSFの医師とコンゴ保健省のスタッフ。ワンガタ保健区のエボラ治療センターにて Ⓒ MSF

今年4月23日、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)赤道州の州都ムバンダカで、エボラウイルス病(エボラ出血熱)の流行が宣言された。コンゴでのエボラ流行は、1976年にエボラウイルスが特定されてから今回で14回目。赤道州では6回目となる。

国境なき医師団(MSF)は、現地保健省への支援と医療ニーズの把握のため、速やかに現地へチームを派遣。また、保健当局や国際援助機関が、疫学調査や症例管理、感染対策の認知向上といったさまざま感染対策を後押しするため現地入りした。当局によって、集団ワクチン接種も始まっている。

これまでのMSFの援助活動

ワンガタ保健区のエボラ治療センターを支援

現地に派遣されたチームはまず、ワンガタ保健区にあるエボラ治療センターで、患者の動線の整備や現場スタッフの訓練の両面から支援が必要なことを確認。また、同センターの機能をできる限り早く復旧するために、患者の治療の優先順位を決めるトリアージの再建と感染予防対策の強化を行った。

さらに、感染の疑われる複数の患者と3人目の確定患者に対応したが、この確定患者は残念ながら亡くなっている。約2週間の支援と必要な医薬品の寄贈を経て、ワンガタの治療センターは5月11日に他の医療団体へ引き継いだ。

汚染除去エリアで保護具を消毒するスタッフ Ⓒ MSF
汚染除去エリアで保護具を消毒するスタッフ Ⓒ MSF

地域の医療施設における、隔離と治療能力の強化

都市部のムバンダカ保健区とワンガタ保健区で活動する関係者が増えたことから、MSFは患者が住んでいる場所からできるだけ近い場所でケアを提供するため、郊外に位置するボレンゲ保健地区(ムバンダカ市の南)の3つの医療施設への支援を開始。

ボレンゲ診療所には、患者を選り分けるトリアージを構築し、ベッド数8床の総合治療センター(疑い症例用6床、確定症例用2床)を設置した。ウェンジ・セクリ診療所にも、トリアージと隔離室を設置済みで、間もなくイケンゴ診療所でも同様の活動を予定している。これらの施設の最前線で活動するスタッフには、感染予防と、症例発見・管理についての研修も行う予定だ。

ボレンゲ診療所には、新たな総合治療センターを建設 Ⓒ MSF
ボレンゲ診療所には、新たな総合治療センターを建設 Ⓒ MSF

健康教育活動と地域密着型の疫学調査を強化

ムバンダカ市郊外では、地域の人びとに感染対策を周知する健康教育をはじめ、疫学調査や、罹患した患者を見つけた際、速やかに知らせる通報調査の強化の準備も進めている。

同市と周辺地域はコンゴ川流域の要衝であり、州内のみならず、国内の他の主な都市へと向かう水上・陸上交通の重点経由地だ。地域の人びとの意識を向上させ、エボラの兆候をよりよく察知し、早急に通報できるようにすることが、エボラの流行抑止の決め手になる。

ワンガタ保健区のエボラ治療センターに設置した、新しいトリアージ・エリア Ⓒ MSF
ワンガタ保健区のエボラ治療センターに設置した、新しいトリアージ・エリア Ⓒ MSF

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