遺言書の効力はどれくらい? できることや効力の発生時期について詳しく解説
更新日:2024年10月24日
監修者:三浦美樹 司法書士(日本承継寄付協会 代表理事)

遺言書には、遺産を相続する人やその分割方法などについて記載できますが、そのほかの細かい内容についてはどの程度指定できるのでしょうか。遺言の効力の発生時期についてわかりやすく解説します。
目次
遺産からの寄付の方法や注意点などをご説明した資料をご用意しています。
パンフレットに掲載されている内容は以下の通りです。(一部)
- 国境なき医師団とは?
- 遺贈寄付までの流れ
- 公正証書遺言とその作り方
- 自筆証書遺言とその書き方
- 遺贈Q&A

国境なき医師団の遺贈寄付の詳細
1.遺言書の効力はどれくらい?
遺言書では、相続する人や財産の種類・割合などについて指定できます。例えば、優先して財産を渡したいと思う親族や団体などがあれば、遺言書によって指定することが可能です。
遺言書がない場合には、法的に定められた「法定相続分」という割合を目安にして配偶者や子どもなどが遺産を相続します。しかし遺言書がある場合には、法定相続よりも遺言書の内容が優先されます。
そのほかにも、遺言書によって遺言執行者や生命保険金の受取人などの指定を行うことも可能です。遺言書に記載することで法的拘束力を持つ事項を見ていきましょう。
相続分の指定
基本的に遺言書では、相続分(遺産の何を、どれくらい、誰に譲るのか)を自由に指定できます。しかし、一部の法定相続人には、被相続人の意思とは関係なく、被相続人の財産の一定の割合の金額を取得する権利が認められています。それが、被相続人の遺族の生活を保障するために定められた「遺留分」という制度です(民法第1042条)。この権利を有している相続人を遺留分権利者といい、基本的には被相続人の配偶者、子ども、両親となります。
遺産分割方法の指定
「長男に預貯金を、次男に土地を相続する」など、遺産の分割方法を遺言書によって指定できます。ただしこの分割方法は絶対ではなく、相続人全員が同意すれば、遺言書とは異なる方法で分割されることもあります。
遺贈の指定
遺贈とは、「遺言」によって遺産の一部または全てを法定相続人以外の人や団体に無償で譲ることをいいます。遺言書では、お世話になった人などに遺贈する旨を指定できます。ただし、遺留分に配慮して指定を行うことが一般的です。
非嫡出子の認知
婚姻関係にない男女の間で生まれた子どもを「非嫡出子」といいます。非摘出子と母親は、出産によって親子関係が明らかになるため、子どもは母親の戸籍に入り法的に親子となりますが、そのままだと父親と法的に親子関係が認められないため、非嫡出子には父親の遺産を相続する権利がありません。しかし、父親が子どもを認知すれば、法定相続人として遺産を相続することが可能になります。そして、父親が遺言書において非嫡出子の認知を行えば、これまでに認知していなかったとしても、子どもに遺産を相続する権利を与えることができます。
未成年後見人の指定
親権者の死亡などを理由に、未成年者に対して親権を持つ人がいない場合、未成年者の代理人となる人を「未成年後見人」といいます。未成年後見人は代理人として契約などの法律行為をしたり、監護養育や財産管理をしたりすることができます。未成年の子どもがいて、遺言者の死亡によって親権者がいなくなる場合に、遺言書によって未成年後見人を指定することが可能です。
相続人の廃除
「自分が死んでもこの人には遺産を渡したくない」と思う人がいれば、遺言書に記載することで、その人を相続人から廃除することが可能です。ただし、生前にその人から虐待や重大な侮辱を受けていたなどの事情がある場合に限ります。
生命保険金の受取人変更
生命保険金の受取人を変更するためには、本来であれば保険の契約を変更しなくてはなりませんが、遺言書に記載することによって受取人を変更することができます。しかし、遺言書による受取人変更は、相続開始後にトラブルになることが予想されるため、あまりおすすめしていません。
遺言執行者の指定
「遺言執行者」とは、遺言者の死亡後に遺言書の内容を実現するための実務を行う人であり、具体的には預貯金の解約や相続財産の名義変更などを行います。遺言執行者は遺言書に記載することで指定できます。遺言執行者は未成年者と破産者以外であれば誰でもなれますが、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に依頼する方が増えています。
2.遺言書の効力が発生する時期はいつから?
遺言の効力は、原則として遺言者が亡くなった時から発生します。遺言書が既に作成されており、かつ遺言書に名前がある相続人であっても、遺言者が存命であれば遺産に対して権利を持ちません。
遺言書の効力に期限はなく、10年前に作成されたものであっても有効です。ただし遺言書が複数見つかった場合には、最も日付の新しい遺言書だけが効力を持ちます。
3.無効とならない遺言書の書き方について
遺言書は民法で定められた重要な書類であり、要件を満たさないと無効になってしまうこともあります。遺言書の作成方法については以下のページをご覧ください。
4.まとめ
遺言書では、遺産を相続する人の指定はもちろん、分割方法や遺言執行者、遺贈などについても記載できます。自分の死後について具体的な希望がある場合は、遺言書を活用して詳細に指定することが可能です。
これらの事項は、遺言書に記載することで法的な拘束力を持ちますが、遺言書として適切な方法で作成されていることが前提です。作成方法によっては遺言自体が無効になるリスクもあるため、専門家などのサポートを受けて確実に遺言書を作成することをおすすめします。
遺産からの寄付の方法や注意点などをご説明した資料をご用意しています。
パンフレットに掲載されている内容は以下の通りです。(一部)
- 国境なき医師団とは?
- 遺贈寄付までの流れ
- 公正証書遺言とその作り方
- 自筆証書遺言とその書き方
- 遺贈Q&A

5.遺贈寄付に関するご相談
遺贈寄付の手続きは、誰にとっても初めての体験。でも、相談できる人が身近にいない、という声も聴かれます。「国境なき医師団 遺贈寄付ご相談窓口」には、幅広い知識と相談経験豊富な専任のスタッフがいます。遺言書の書き方から、手続き上のことまで、遺贈のことなら何でも、お気軽にご相談ください。
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三浦 美樹 司法書士 (一社)日本承継寄付協会
代表理事 司法書士法人東京さくら
代表
司法書士開業当初から、相続の専門家として多くの相続の支援を行う。誰もが最後の想いを残せる少額からの遺贈寄付にも力をいれている。
平成19年 司法書士試験合格
平成23年 チェスター司法書士事務所を開業
平成29年 さくら本郷司法書士事務所に名称変更
令和元年 一般社団法人承継寄付協会設立 代表理事就任
令和2年 司法書士法人東京さくらとして法人化