遺言書を保管する─遺言書の保管方法と注意点─

遺贈が実現するためには、法的に有効な遺言書を作成するだけでなく、作成した遺言書がご逝去後に発見され、破棄されたり改ざんされたりすることなく遺言執行者に届く必要があります。そのため、遺言書をどのように保管するかは重要なポイントです。
遺言書の保管方法は、公正証書遺言か、自筆証書遺言かによって利用できる制度が異なります。それぞれの特徴と方法の概要をまとめました。より詳しくは、専門家または遺贈寄付ご相談窓口までお問合せください。

遺言書の種類別にみる保管方法

公正証書遺言の場合は、遺言書を作成した公証役場が原本を、遺言者と遺言執行者が正本、謄本を保管します。そのため、原本の紛失や改ざんの心配はありません。ただし、ご逝去の連絡を、誰かが、公証役場と遺言執行者に行う必要があります。
自筆証書遺言の場合、これまでは、発見が遅れたり、発見されても遺言執行者の手に渡らなかったりするリスクがありました。しかし、新しく創設された法務局の遺言書保管制度を利用することにより、そのようなリスクを回避することができます。
詳しくは、法務省ホームページ新規ウィンドウで開くまたは「遺贈寄付ご相談窓口」にお問合せください。

法務省「自筆証書遺言書保管制度」新規ウィンドウで開く

公正証書遺言 自筆証書遺言
封印・保管 封印不要。公証役場が原本を保管し(最大20年)、遺言者と遺言執行者が正本、謄本を保管します。 法務局の遺言書保管制度を利用する場合 法務局の遺言書保管制度を利用しない場合
遺言者本人が遺言書を作成し,管轄の法務局(遺言書保管所)に申請の予約をした上で,直接本人が出向いて保管を申請します。 保管方法は特に決まっていませんが、遺言者の死後、確実に発見されることが必要です。
遺言者死亡後の家庭裁判所の検認 不要 不要 必要
執行 家庭裁判所の検認が不要で、速やかに遺言が執行されます。 家庭裁判所の検認が不要で、速やかに遺言が執行されます。 家庭裁判所の検認を受けた後、遺言が執行されます。
費用 手数料がかかります 手数料新規ウィンドウで開くがかかります
(手数料は法務省ホームページで確認または保管先の法務局にお問合せください)
不要
長所 公証人は、法律の専門家で、正確な法律知識と豊富な経験を有していますので、方式の不備で遺言が無効になるおそれがありません。また、原本が必ず公証役場に保管されますので、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。

紛失・亡失を防ぐことができます。

  • 自宅で保管すると紛失・亡失するおそれがあります。
  • 遺言者の死亡後,発見されないおそれがあります。

他人に遺言書を見られることがありません。

  • 他人に見つかった場合,勝手に開封されてしまうおそれがあります。
  • 他人に破棄されたり,改ざんや隠匿されるおそれがあります。

相続人や受遺者等の手続が楽になります。

費用がかからず手軽
短所 手数料がかかります

法務局への保管申請に費用新規ウィンドウで開くがかかります
(手数料は法務省ホームページで確認または保管先の法務局にお問合せください。

  • 例:遺言書の保管申請1件3,900円(東京都法務局))
法令上の要件を満たしていなかったり,内容に誤りがあると無効になります。遺言書が発見されないことや、偽造、改ざん、廃棄などの恐れがあり、トラブルを招くことがあります。

これも知っておきたい─民法(相続法)の改正と遺言書保管法の制定─

自筆証書遺言の方式緩和

いままで、自筆証言遺言では、遺言書に添付する財産目録も自筆でなければなりませんでしたが、今回の民法改正によって、自筆証言遺言であっても財産目録についてはパソコンで作成することが可能になりました(※財産目録の各頁に署名押印をする必要はあります)。

法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができるようになりました※1

遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうか調べること(「遺言書保管事実証明書」の交付請求)、遺言書の写しの交付を請求すること(「遺言書情報証明書」の交付請求)ができ、また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。※2 ※3

また、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合には,あらかじめ遺言者が指定した者に対して,遺言書が保管されている旨を通知する「死亡時の通知」制度新規ウィンドウで開くを利用すれば、遺言書の存在を確実に知ってもらえるので安心です。

法務省「自筆証書遺言書保管制度」新規ウィンドウで開く

遺産からの寄付の方法や注意点などをご説明した資料をご用意しています。

パンフレットに掲載されている内容は以下の通りです。(一部)

  • 国境なき医師団とは?
  • 遺贈寄付までの流れ
  • 公正証書遺言とその作り方
  • 自筆証書遺言とその書き方
  • 遺贈Q&A

お問い合わせ

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遺言書の書き方から、手続き上のことまで、遺贈のことなら何でも、お気軽にご相談ください。