海外派遣スタッフ体験談
気温45度のなか栄養失調・予防接種プロジェクト
神田 紀子
- ポジション
- 薬剤師
- 派遣国
- ニジェール
- 活動地域
- ギダンルンジ、ニアメ
- 派遣期間
- 2016年2月~2016年4月

- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
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前回、コートジボワールの派遣活動から2016年1月末に帰国したばかりだったのですが、 2月からの短期の活動のお話が複数あり、その中でもニジェールは周辺国に比べて比較的情勢が安定しているので、行ってみようと思いました。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?
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自宅の大掃除(笑)、その後は健康診断、歯科検診、予防接種の確認など、おもに健康面でのチェックをしました。前回のコートジボワールでの活動に引き続きフランス語圏での活動になるので、前回ほどはテンパりませんでした(前回は3年ぶりのフランス語圏での活動でちょっと不安でした)が、ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI:Radio France Internationale)の「Journal en français facile(※)」をポッドキャストで聴いていました。
- RFIの、時事ニュースを簡単なテキストで聞くことができる学習者用のコンテンツ
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?
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ニジェールは3~6月には気温が40度以上になる世界で最も暑い国の1つですが、2010年にチャドの派遣活動中、50度を超えたことがあり、暑さに対する覚悟はできていました。50度以上まで測定できる温度計を宿舎のサロンに設置し、チームのみんなで「40度超えたね」など参考にしていました。気温が分からずに暑がっているよりも、実際に数値を見て納得した方が、諦めがついて(?)、むしろ「45度超えてる~!」などと暑さを楽しんでいられたように思います。
予防接種の活動では、チャド、ブルキナファソでの活動経験から、治療薬キットの準備などずいぶんスピードアップできたと思います。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
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ギダンルンジの診療所での栄養失調プロジェクト
わずか2ヵ月でしたが、そのうちの3週間はギダンルンジでの栄養失調プロジェクトの終了(現地病院に活動承継)のサポートに当たりました。私が着任したとき、海外派遣スタッフはすでにほとんどの人が帰国して、8人が残っており、現地スタッフが200人ほどでした。
現地には750㎡もの広さの薬品倉庫があり、現地病院へ9ヵ月分(2016年末まで)の医薬品・医療器材を移管する業務をしていました。その他、すべての在庫を地域の保健センター、地域の基幹病院などに分配する業務にあたる現地チーム(派遣薬剤師1人+現地アシスタント2人)があり、その応援も行っていました。
残り5週間は首都のニアメで髄膜炎・はしか予防接種緊急援助チームのサポートに当たりました。予防接種に使用する医療資材や、治療のための医薬品の管理です。私は首都で業務につきましたが、予防接種チームはドソ地方の2つの町で、7チームが5~6日間かけて1万6000人に接種を行いました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
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朝8時から夕方5時が勤務時間で、暑いため休憩が2時間ありました。ギダンルンジはお店やレストランがない小さな町なので、夜はみんなで、衛星テレビでドラマを観て団らんしていました。安全対策上、大きな市場などへ行くことはできなかったので、朝涼しいうちに散歩するくらいでした。
ニアメでは指定されたいくつかのレストランやスーパーマーケットに行くことができました。週末はお菓子を焼いて気分転換しました。
- Q現地での住居環境についておしえてください。
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各自個室があり、エアコンも使えました。停電時も発電機があって電気を24時間使えたので、快適に過ごせました。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
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ニジェールでは女性はヒジャブを被り、また、男性と女性は握手はしないなど、イスラム教の戒律が厳しい印象がありましたが、一方で女性の警備員が夜勤をしていたり、女性看護師がドソでの予防接種のために1週間出張したり、赤ん坊を連れて働いている女性スタッフがいたりと、女性も社会でたくましく働いているのが印象的でした。
- Q今後の展望は?
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今年は体を休めます。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
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チームのコミュニケーションがとても大切です。自分は体力がないので夜更かし・深酒はしないようにしていましたが、10分でもチームの団らんに参加するようにしていました。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2015年9月~2016年1月
- 派遣国:コートジボワール
- 活動地域:アビジャン
- ポジション:薬局コーディネーター
- 派遣期間:2014年7月~2014年9月
- 派遣国:シリア
- 活動地域:-
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2013年3月~2013年4月
- 派遣国:シリア
- 活動地域:-
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2012年10月~2012年12月
- 派遣国:シリア
- 活動地域:-
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2012年4月~2012年7月
- 派遣国:中央アフリカ共和国
- 活動地域:バンギ
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2011年8月~2011年11月
- 派遣国:コートジボワール
- プログラム地域:アビジャン
- ポジション:薬剤コーディネーター
- 派遣期間:2011年2月~2011年4月
- 派遣国:マラウイ
- プログラム地域:チラズル
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2010年1月~2010年6月
- 派遣国:チャド
- プログラム地域:ンジャメナ
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2009年3月~2009年9月
- 派遣国:ブルキナファソ
- プログラム地域:ウァガドゥグー
- ポジション:薬剤師
- 派遣期間:2008年9月~2009年1月
- 派遣国:エチオピア
- プログラム地域:南部諸民族洲
- ポジション:薬剤師