MSF日本、政府に署名9万5821筆を提出――「病院を撃つな!」キャンペーン

2017年04月28日掲載

国境なき医師団(MSF)日本は、紛争下で医療が標的となっている事態を食い止めることを目的とした「病院を撃つな!」キャンペーンの一環で、日本政府にさらなる役割を果たすよう求める署名9万5821筆を外務省と厚生労働省に提出しました。

岸信夫・外務省副大臣「人道援助が安全に行われるよう役割を担っていく」

署名を岸信夫・外務省副大臣に提出しました 署名を岸信夫・外務省副大臣に提出しました

2016年5月3日、国連安全保障理事会は、紛争下での医療活動への攻撃を強く非難する安保理決議第2286号を満場一致で採択し、こうした攻撃については、当事者はその責任を免れないと断言しました。

この決議を起案・主導した5ヵ国の1つが日本です。また、日本は「決議の具体的な履行を望む」と明確に表明しています。患者と医療従事者はその実現を心の底から願っています。

こうした点を改めてお伝えした上で、外務省では岸信夫副大臣に、厚労省では馬場成志政務官にそれぞれ署名を手渡しました。岸副大臣は「MSFの日頃からの献身的な医療活動と、キャンペーンを通した紛争下の医療保護に関する理解促進への尽力に、敬意を表します」と述べ、日本として、人道援助が安全に行われるよう、積極的にその役割を担っていくことを約束されました。

署名を馬場成志・厚労省政務官に提出しました 署名を馬場成志・厚労省政務官に提出しました

また、馬場政務官からも「今回のキャンペーンと署名の主旨はよく理解しており、外務省ともよく打ち合わせながら、事に当たっていきます」との言葉にともに、紛争地や自然災害被災地、感染症まん延地域でのMSFの活動について多くの質問が寄せられました。

「MSFは沈黙しません」――MSF日本会長・加藤寛幸

MSF日本会長 加藤寛幸 MSF日本会長 加藤寛幸

署名提出に先立ち、日本記者クラブで記者会見を開き、メディアの方々にキャンペーンと署名の意義をご説明しました。

MSF日本会長の加藤寛幸医師は声明を発表し、「私たちが紛争地で活動できているのは、国際人道法に定められた戦争のルールによって、医療者が、病院が、そして病院にいる患者が、中立の立場で、保護されるべき対象とされているからです」と指摘して国際人道法の順守を訴えました。

また、「MSFは、人の命に危険が及び、人道援助の原則が脅かされているときは沈黙しません」と述べ、事態が改善されるまで取り組みを続ける意志を改めて示しました。

会見には署名に賛同された各団体の代表者の方も列席され、それぞれのお立場から医療の保護と日本政府の果たすべき役割についてコメントされました。

日本医師会 鈴木邦彦氏(常任理事)

右から、司会者、加藤、鈴木氏、山口氏、畔柳氏、藤井氏 右から、司会者、加藤、鈴木氏、山口氏、畔柳氏、藤井氏

日本医師会も加盟している世界医師会は、「紛争地であっても平時の医の倫理に等しく、医師の第1の義務は患者に対するものだ」とする規定を採択している。MSFとは、ラウンドテーブル・ディスカッションに参加したり、MSFインターナショナルのジョアンヌ・リュー会長から訪問を受けたりするなど交流を続けている。こうした観点から、日本医師会・世界医師会は、「病院を撃つな!」キャンペーンに今後も協力をしていく。

アムネスティ・インターナショナル日本 山口薫氏(活動部門チーフ)

軍事目標以外の攻撃対象、病院、患者、民間への攻撃は国際法上違反でありまったく許されない人権侵害である。この観点から、「病院を撃つな!」キャンペーンを全面的に支援している。日本政府が国際人道法に基づく医療の保護を訴えていくことは、外交上でも大変重要な役割だと認識している。MSFはじめ各団体とともに声をあげていきたい。

世界の医療団 畔柳奈緒氏(事務局長)

MSFと同じく医療援助団体として、「病院を撃つな!」キャンペーンに賛同している。世界の医療団がシリアで支援している医療施設も標的となり、患者やスタッフが犠牲となっている。2016年5月の国連安保理決議から1年になろうとしているが、世界各地で医療施設が意図的に攻撃されることが続いている。子どもを含む一般市民が攻撃されている。決議が一刻も早く履行されることを求める。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 藤井麻衣子氏(海外事業部・緊急人道支援マネージャー)

紛争被害を受けた子どもたちの支援を行っている立場から、子どもたち、民間人を紛争に巻き込むなという私たちの訴えは、「病院を撃つな!」キャンペーンの趣旨に合致している。私たちは、医療者への迫害や救急車の盗難や破壊といった行為を告発している。こうした行為が国際人道法に違反することは明白である。

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