バナナの葉を布団代わりに……約100万人が避難、野宿者も 急がれる支援

2018年09月04日

MSFが支援する小児科を訪れた生後9カ月のダウィットちゃんと母親のメスケレムさんMSFが支援する小児科を訪れた生後9カ月のダウィットちゃんと母親のメスケレムさん

90万人超——東京都の世田谷区にも匹敵する人口が、避難を強いられている。エチオピア南部で激化した部族間衝突の影響だ。国境なき医師団(MSF)はこの危機的状況を受け、緊急対応を開始した。 

「大規模な衝突で、短期間で大勢の人が住まいを追われています。仮設住居、救援物資、水、保健衛生の確保が最優先です」MSFの緊急対応コーディネーター、アレッサンドラ・サイベネはこう話す。「ほとんどの人が慌てて逃げてきたため、何も持ち出せていません。学校や教会に家族で身を寄せています。野宿しなければならないことも……体にかけるものは、バナナの葉やビニールシートだけです」

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人びとが身を寄せるのは、国内有数の過密地域である諸民族州ゲデオ県とオロミヤ州西グジ県の県境付近。そこへ避難者が一斉に押し寄せたため、支援が追いつかず、避難所の環境はひどい。政府が医療、食料、救援物資を提供しているものの、依然として住居、水や衛生設備が足りていない。

「清潔な水やトイレもない環境でこれだけの人数がひしめき合っていると、感染症の流行リスクがとても高くなります。生活環境の改善を急がなければ、事態は悪化する一方です」(アレッサンドラ・サイベネ)

戦闘を逃れ、学校で避難生活を送る人びと。家は焼き払われたという戦闘を逃れ、学校で避難生活を送る人びと。家は焼き払われたという

MSFは他団体と連携しながらトイレや水・衛生設備を急ピッチで設置し、清潔な飲み水をトラックで搬入した。今後、毛布や調理器具などの配布も目指している。

さらに、地元の診療所や病院も支援中だ。「MSFは州保健局とともに、避難者が命をつなぐための医療活動を行っています。これまでに診療した外来患者1万9000人余りのうち、約6700人は5歳未満の子どもでした。MSFはエチオピア政府も支援し、子ども向けはしか予防接種を実施しています」

MSFの医療施設を訪れる患者の大多数は、下痢や寄生虫感染症、呼吸器感染症、皮ふ感染症を患っている。劣悪な環境や汚染水によるものだ。

雨の多い季節が到来すると、生活環境はさらに悪化する。MSFは、人びとの健康を守るための準備を進めている。
「NGOと地元当局が、迅速かつ継続的に対応していく必要があります。緊急事態が続く間は食料の配布を続けなければ——雨の季節がくると、食料が完全に枯渇してしまいますから」 

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