紛争地で流行したエボラ 感染を抑え込み現地医療を守るには

2018年08月09日

感染制御と予防の研修を行うMSFスタッフ感染制御と予防の研修を行うMSFスタッフ

コンゴ民主共和国(以下コンゴ)北東部にある北キブ州で、8月1日、この国で10回目となるエボラ出血熱の流行宣言が出された。コンゴ保健省は現在までに74件の症例と34人の死亡を発表している。国境なき医師団(MSF)は保健省の対応計画に沿って活動を開始している。最初の1週間で、流行の中心地マンギナにエボラ治療センターを開院し、隔離用テントに30床のベッドを設置した。またマンギナの近くにある人口40万人のベニにも隔離ユニットを建設したほか、近隣の医療施設で感染制御と予防に向けての研修を行っている。 

流行拡大を食い止め、現地の医療を守る

MSFはマンギナにエボラ治療センターを設置MSFはマンギナにエボラ治療センターを設置

エボラ対応で重要な点は、他の医療機関が機能を保ち、エボラ以外の患者が継続して医療を受けられるように徹底していくことだ。
MSFの緊急対応責任者を務めるグウェノラ・セルーは「課題はいくつもあります」と語る。「当然ながら、まずは流行拡大を食い止めること。そしてそのためには、エボラウイルスから医療従事者と医療機関を守る必要があります。コンゴ保健省と連携して行う予防接種も、必要不可欠となるでしょう」
流行地域内にあるMSFの他のプロジェクトでも警戒レベルを引き上げた。ルベロとバンブ・キリビジ、ルチュルの病院では、小児治療と栄養失調、性暴力の被害者のケアなどを行っているが、こうした活動を感染リスクから守る手順を導入した。
また、保健当局はエボラ患者と接触した約800人を特定しており、現在、初期症状が出ていないかモニタリングを行っている。

紛争地での流行は対応が困難

徹底した感染制御は現地の医療を守ることにもつながる徹底した感染制御は現地の医療を守ることにもつながる

この地域は長年、武装勢力間の抗争が続いており、それがいっそう深刻な課題にとなっている。セルーは、「紛争地でエボラの流行に対応するのは、MSFにとっても初めてです。立ち入るのが困難な地域では移動が制限されてしまい、流行を抑えることは非常に難しくなるでしょう」と話す。
この地域はウガンダ国境にも近く、ウガンダの首都カンパラの当局は、自国民に向けて厳戒態勢に入るよう呼びかけている。ウガンダで活動するMSFチームも、援助開始を求められる事態に備えてウガンダ当局と連携している。
今回の流行は、5月ごろから発生したものとみられているが、前回赤道州で発生し7月に終了宣言が出された流行との因果関係を示すものは今のところ確認されていない。 

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