迫りくる豪雨と強風 仮設住居でしのげるか——避難者を待ち受ける水害の脅威

2018年07月18日
今年初の集中豪雨で低地の仮設住居が浸水今年初の集中豪雨で低地の仮設住居が浸水

6月からモンスーン期に入り、豪雨を伴う嵐が度々訪れるバングラデシュ。南部コックスバザール県の丘陵地に広がるクトゥパロン=バルカリ難民キャンプには62万人を超えるロヒンギャ難民が身を寄せており、深刻な水害リスクが指摘されている。

難民キャンプの仮設住居は地面に竹竿を立て、細かく割いた竹材を編んだ骨組みにビニールシートをかぶせただけの簡素な造り。援助団体から与えられた竹材を使って、難民が自ら組み立てたものだ。

2017年10月以降、キャンプで避難生活を送るハシナさん(35歳)は「この仮設住居で豪雨と強風に耐えられるだろうか」と不安を漏らす。同年8月にミャンマーで起きた弾圧によって夫は殺害され、息子2人と娘3人を連れて逃げてきた。


仮設住居が密集する難民キャンプ仮設住居が密集する難民キャンプ

近くに住む親戚が助けてくれることもあるが、毎日が苦難の連続だ。住居の近くにある水場は壊れており、離れた場所まで行かなければ水を調達できない。5人の子どもはまだ幼く、料理に使う薪拾いを頼めない。近所には木が1本もなく、薪を集めるのに3時間かかることもある。ガスコンロが支給されたのは少数の幸運な人だけだ。

劣悪な環境で避難生活を送るロヒンギャ難民。人口過密のキャンプで土砂崩れや洪水が起きれば、多数の犠牲者が出る可能性もある。水害の危機が、その過酷な暮らしに追い打ちをかける。

国境なき医師団(MSF)はクトゥパロン=バルカリ難民キャンプ内に病院5ヵ所、診療所10ヵ所、医療施設3ヵ所を開設し、24時間体制で診療している。主にみられるのは、劣悪な生活環境からくる下痢、呼吸器感染症や皮膚感染症だ。MSFは診療以外にも、食糧と蚊帳や貯水容器といった必需品の配布、清潔な水や衛生施設の配備に取り組んでいる。

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