6秒に1人、失われる命
栄養失調の子どもたちを守る
2022.04.13

いま世界で、6秒に1人、5歳未満の子どもが命を落としています(※1)。その原因の多くに関わっているのが栄養失調です。
子どもたちが置かれた現状と、国境なき医師団の取り組みを伝えます。
「命がこぼれるように亡くなっていった……」
日本人医師が直面した現実
リベリアの子どもたちも日本の子どもたちと同じように家族に愛されて、一人一人の人生があります。命は比べられるものではないし、数だけで考えられるものでもありません。これからも一人一人の命に丁寧に向き合っていきたいと思います」

栄養失調とは?
幼い子どもたちに高いリスクが

© Nuha Haider/MSF
命を救うために一刻も早く!
治療の5つのステップ
Step 1 「命のうでわ」で栄養失調の水準を把握

*上腕周囲径測定帯 MUAC (Mid-Upper Arm Circumference)
Step 2 治療用ミルクで体調を安定させる

Step 3 栄養治療食「RUTF」の摂取で栄養状態を改善

水やガス、電気がなくてもすぐ食べられる「RUTF」(Ready to Use Therapeutic Food)という治療食で、ピーナツペーストのような味で成長に必要な栄養素でできており、1パックで500キロカロリーのエネルギーを摂取することができます。
Step 4 食欲テストを行い退院の可否を判断

Step 5 通院しながら、栄養治療を継続

地域の保健医療施設とも連携し、定期的に通院して体重が増えるのを確認し、体重がしっかりと増えれば栄養失調治療プログラムから卒業となります。

「食べ物がない」だけじゃない──絡み合うさまざまな要因

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“死の組み合わせ”で消えゆく命 栄養失調の子どもたちに、はしかが及ぼす深刻なリスク
高い感染力を持つ「はしか」。栄養失調で免疫力が低下している子どもが感染すると命が脅かされる事態に——。
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【アニメーション】食べものがあるのになぜ? イエメン、子どもの栄養危機
7年におよぶ内戦が続くイエメン。食料は不足していないにもかかわらず、栄養失調が増え続けているのはなぜ?
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「3歳で体重3キロの子も」
日本人看護師が世界で見てきた栄養失調の実態とは栄養課題に取り組むためMSFに参加した看護師の松本明子。ナイジェリアのある男の子の奇跡の回復が忘れられないと語ります。
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【動画】気候変動が引き起こす健康被害 まず子どもたちが栄養不足に
気候変動がもたらす健康被害の一つが栄養失調です。食料生産が滞り、そのしわ寄せは途上国の子どもたちに——。(YouTubeへ)
回復した子どもたち つながった命の希望
MSFは世界各地の国々で栄養失調の課題に取り組み、2020年には6万4300人に栄養治療を行うことができました。元気を取り戻した子どもたちの笑顔が広がっています。

生後10カ月のラガドちゃん(イエメン)。
毎週、父親と栄養治療食を取りに来ている
© Trygve Thorson/MSF

2歳のウイエラちゃん(コンゴ民主共和国)
© MSF/Solen Mourlon

MSFの救急車で運ばれた男の子。
栄養失調とマラリアの治療を受けた(カメルーン)
© Scott Hamilton/MSF
意識のなかった子が回復 座って食べて笑った! ~ナイジェリアより~

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飢餓の惨状に声を上げる——MSF設立の原動力に
MSF設立からの約50年間、栄養失調の予防や治療法は進歩しましたが、治療へのアクセスはまだ改善の余地があります。MSFは各国政府に対し、栄養失調の対策に十分な投資を確保し、治療アクセスを拡大すること、そして科学的効果が示された取り組みを推進することを求めています。

© Patrick Frilet
命を救う活動を、どうぞご支援ください。
寄付をする例えば、5,000円のご寄付で、150食分の栄養治療食「RUTF」を用意できます。

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※1:5歳未満児死亡数520万人 国連児童基金(ユニセフ)『Levels and Trends in Child Mortality 2020』
※2:『世界の食料安全保障と栄養の現状 (The State of Food Security and Nutrition in the World) 2021』
トップ写真:自分で栄養治療食が食べられるまでに回復した1歳のムッサちゃんと、MSFのスタッフ(シエラレオネ) © Livieri Vincenzo
入院当初は弱っていた子どもが元気を取り戻し、病棟で泣いたり笑ったりしている姿を見ると、とても嬉しくなります。