海外派遣スタッフ体験談

難民キャンプ援助 人事・財務分野で貢献:熊澤ゆり

2018年07月31日

熊澤ゆり

職種
アドミニストレーター
活動地
バングラデシュ
活動期間
2018年3月~6月

Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

先回のナイジェリアの活動を終え、一休みしたころ今回のミッションの情報をいただき、今までの経験が生かせそうだと思いました。 

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?

次の派遣に向けては、語学力の向上や健康の管理などをしていました。 

Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか?どのような経験が役に立ちましたか?

アドミニストレーターの仕事は何度もやっているので、経理、人事の管理等でMSFが活用するパソコンソフト等は使い慣れていました。今回、アシスタントが2人いたのですが、MSFでの経験が浅かったので、2人を指導しました。過去に一緒に仕事をしたことがある人達が何人もいたので、精神的に楽でした。 

Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

バングラデシュ南東部コックスバザールでは、ウンチパランとナヤパラの2ヵ所のロヒンギャ難民キャンプで、病院を運営していました。難民に対するカウンセリングを含む心理ケア、健康教育が主な活動でした。
また、難民がキャンプに移送される前に、エントリー・ポイントと呼ばれる場所で診療や心理ケアを実施した他、雨期に予想されるコレラの流行に備え、コレラ専門の病棟の設置やスタッフのトレーニングをしました。この地域では、地元の医療施設も限りがあるため、患者さんはロヒンギャの人たちだけでなく、地元の人たちも受け入れていました。

海外派遣スタッフは、プロジェクト・コーディネーター、ロジスティシャン、医療チームリーダー、アドミニストレーターの他、医師、看護師、助産師、薬剤師、健康教育担当の合計13人が常駐していました。他のプロジェクトと兼任のスタッフ(建築士、精神科医、疫学専門家など)も長期短期に関わっていました。現地スタッフは合計140人前後いました。
この中で私は、アドミニストレーターして人事管理や経理の確認や現金、契約書の管理をしていました。

コレラの大流行に備えて、医療スタッフに実施したトレーニングの様子
コレラの大流行に備えて、医療スタッフに実施したトレーニングの様子
Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

特別のミーティングがある日などは、難民キャンプに出かけていましたが、その他の日は事務所で仕事をすることが多かったです。勤務時間は朝8時から夕方5時まででしたが、仕事が忙しかったこと、また集中して仕事をする必要があり、就業前やスタッフが帰った後も事務所でパソコンに向かっていることも多かったです。

昼休みは午後1時から2時まで、事務所兼宿舎に住んでいたので、食堂でコックさんが作ってくれる昼食を食べていました。仕事の後、買い物を兼ねて出かけることもありましたが、夕食は大抵宿舎で食べていました。仕事の後はヨガをしたり部屋で本を読んだり、メールをチェックしたりもしました。

週末は同僚たちと市場へ買い物や食事に出かけました。近くにビーチがあり、水泳はできませんでしたが、海岸へ散歩に行ったこともありました。 

ウンチパランでは、コレラ病棟の隣に臨時の病院を作った。手前が一般の病院、奥がコレラ病棟の入り口。牛や人が行きかうのどかな場所。
ウンチパランでは、コレラ病棟の隣に臨時の病院を作った。手前が一般の病院、奥がコレラ病棟の入り口。牛や人が行きかうのどかな場所。
Q現地での住居環境について教えてください。

事務所とスタッフの宿舎を兼ねた一軒家のベースで住宅街の中にありました。市場まで車で10分弱、余裕があれば歩いて行ける距離でもあり、生活するには問題ありませんでした。
しかし、ウンチパラン難民キャンプまでは車で1時間弱、ナヤパラ難民キャンプまでは車で30分と距離がありましたので、毎日現場へ行く人たちは大変でした。

事務所のあった建物は、事務所として使われる部分と、スタッフの部屋、台所や食堂、共有のトイレとシャワーがいくつかありました。三階建ての建物でしたが、スタッフの住居用の三階部分の建設工事が終わっておらず、2~3人で部屋をシェアせざるを得なかったことと、スペースが限られているため、リラックスできるスペースが限られていたのが難点でした。私の任期の後半では、キャンプにより近い場所へのベースの移転が計画準備されていました。 

Q活動中、印象に残っていることを教えてください。

 任期の半ばから、医師や看護師の他、病院の清掃担当者ら、各職種70人以上を短期の間に新規採用しなければなりませんでした。専門職は地元の人材が限られているため、首都ダッカや南東部の街チッタゴンといった離れた地域出身の人たちを主に採用することになるのですが、試験や面接を行うのにスカイプを利用したり、ビザ更新の手続きでダッカへ出るスタッフの滞在日程に合わせたりなど、簡単ではありませんでした。

また、スキルの高い職種はインターネットを利用して募集していましたが、5人ほどの採用枠に500名以上の応募があったこともありました。コックスバザールでは私たち以外に2つの地域でプログラムがあり、別のプログラムの人事担当者達と協力し合う等良い経験ができましたが、限られた時間で適切な人材を探す難しさを改めて感じました。

Q今後の展望は?

 体力を回復させ、体調を整えます。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

MSFでの活動は体力的にも精神的にもタフさ、思考の柔軟さや適応力が必要です。どこでもできる心身のリフレッシュ方法を持っておくと良いと思います。

MSF派遣履歴

  • 派遣期間:2017年7月~11月
  • 派遣国:ナイジェリア
  • プログラム地域:ジャクスコ
  • ポジション:アドミニストレーター
  • 派遣期間:2017年2月~5月
  • 派遣国:トルコ
  • プログラム地域:ハタイ
  • ポジション:アドミニストレーター
  • 派遣期間:2015年11月~2016年8月
  • 派遣国:中央アフリカ共和国
  • プログラム地域:バンギ
  • ポジション:財務コーディネーター
  • 派遣期間:2014年3月~2015年6月
  • 派遣国:イエメン
  • プログラム地域:サヌア/アンマン/ジブチ
  • ポジション:財務コーディネーター
  • 派遣期間:2013年11月~2013年12月
  • 派遣国:フィリピン
  • プログラム地域:レイテ島ブラウエン
  • ポジション:アドミニストレーター
  • 派遣期間:2012年12月~2013年6月
  • 派遣国:エチオピア
  • プログラム地域:アロレッサ
  • ポジション:アドミニストレーター
  • 派遣期間:2012年5月~2012年7月
  • 派遣国:南スーダン
  • プログラム地域:ワオ/ラジャ
  • ポジション:アドミニストレーター
  • 派遣期間:2011年1月~2011年9月
  • 派遣国:ケニア
  • プログラム地域:イジャラ県
  • ポジション:アドミニストレーター
  • 派遣期間:2009年10月~2010年10月
  • 派遣国:イエメン
  • プログラム地域:サヌア
  • ポジション:アドミニストレーター

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