特集

スーダン:戦闘下の人びとの命を守る

2023.09.14

4月15日以降、スーダン軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で戦闘が続いているスーダン。首都ハルツームをはじめとする複数の地域で空爆や砲撃、銃撃が続き、医療・人道ニーズが高まり続けている。国境なき医師団(MSF)はスーダン国内で医療援助を継続するとともに、近隣国でも緊急対応に当たり、戦闘の中を生きる人びとの命を支えている。

スーダンで現地活動責任者を務めた落合厚彦が動画で語る

インタビュー記事「戦闘の続くスーダン:いまこそ人道援助が必要──日本社会は関心を持ち続けて」

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スーダンの人びとが置かれた状況は?

必要な医療を受けられない

北ダルフール州のエル・ファシール南病院内の様子=4月19日 Ⓒ MSF/Ali Shukur
北ダルフール州のエル・ファシール南病院内の様子=4月19日 Ⓒ MSF/Ali Shukur
スーダンでは、戦闘が行われている地域では約7割の医療機関が機能していない。首都ハルツームでは、8割以上の医療機関が機能していないという*。そのため、稼働を続ける病院は多くの患者であふれている。膨大なニーズに対し、人員も物資も電力も不足した状態で対応を行っている状況だ。
 
また、戦闘で危険なため屋外に出られず、医療機関へ行けないという人びとも多く存在する。医療従事者も身の危険から病院へ行けないことも少なくない。

*スーダン医師労働組合による

戦闘を逃れて避難

エチオピアの戦闘から逃れスーダンに避難していた一家。スーダンで新たな戦闘に巻き込まれた © MSF
エチオピアの戦闘から逃れスーダンに避難していた一家。スーダンで新たな戦闘に巻き込まれた © MSF
4月の戦闘開始以来、8月時点で400万人以上が家を追われ、内70万人近くが国外に逃れた。この中には、隣国の紛争でスーダンに逃れてきたものの、スーダンの紛争のため再び移動を強いられている人たちも含まれている。
 
最も多くのスーダン難民を受け入れているのはエジプトで、その他の受け入れ国であるチャドやエジプト、エチオピア、南スーダンは、自国の人道危機にも直面している。
 
避難先で人びとは、食料や飲料水、衛生設備の不足にあえいでいる。必要な医療を受けることも難しい状況だ。

すでに崩壊寸前だったスーダンの医療体制

ダルフール地方にて。山奥にある医療活動現場まで ロバに乗って向かう=2020年 © MSF
ダルフール地方にて。山奥にある医療活動現場まで ロバに乗って向かう=2020年 © MSF
スーダンの医療体制は数十年前から崩壊寸前だった。特に、女性と子どもを対象とした公共医療の普及率は、東アフリカで最も低いレベルであり、今回の紛争によって人びとはさらに厳しい状況に追い込まれた。 
 
4月の戦闘激化以降、国連によるとスーダンでは人口の半分に当たる2500万人が人道援助を必要としている。これは昨年12月と比べて約57%ニーズが増えたことを意味する。

スーダンにおける国境なき医師団

スーダンでの活動を継続

MSFはスーダンを離れることはなく、複数の地域で医療を提供し続けている。また、この大規模な人道危機の直接的・間接的影響に対してどう対応を拡大できるか調査を続けており、追加の物資やスタッフが到着した場合には新しい対応を開始予定だ。
 
必要な許可を得られ次第スーダンに渡航できるよう、スタッフがスーダン入りに向け待機している。スーダンの医師や病院と協力してニーズの高い治療を提供し続けるためには、医療チームの強化が極めて重要だ。
首都ハルツーム。不安定な状況のもと手術の準備を進める医師 © MSF/Ala Kheir
首都ハルツーム。不安定な状況のもと手術の準備を進める医師 © MSF/Ala Kheir

各地での医療援助

紛争の激化以来、MSFはスーダン国内の12の州で活動。ジャジーラ州、ゲダレフ州、カッサラ州、ハルツーム州、紅海州、北ダルフール州、西ダルフール州、南ダルフール州、中央ダルフール州、青ナイル州、リバーナイル州、白ナイル州で医療援助を提供している。
 
ハルツームと北ダルフールでは紛争負傷者の治療、ゲダレフ州とジャジーラ州では難民・避難民への医療・水・衛生サービスの提供、医療施設への医療物資や消耗品などの寄贈などを行い、人びとの命を支えている。

また、チャドをはじめスーダンからの避難先となっている近隣国でも援助を提供している。

MSFはすべての紛争当事者に以下のことを求めている。

  • 医療従事者や医療施設の安全を確保し、救急車や、医療を求める人びとの安全な通行を可能にすること。
  • 人道援助を行う人びとが、必要な場所に行けるようにすること。高いニーズがある場所に、物資を運んだり人が移動したりできるようにすること。
  • 民間人を直接攻撃の対象にしないこと。民間人と民間インフラを保護すること。
  • 病院、診療所、倉庫、救急車など、あらゆる医療施設への配慮と保護を行うこと。これらを標的にしてはならない。病院が機能しなければ、被害を受けるのは現地の一般の人びとであることを忘れてはならない。

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トップ写真:戦闘から逃れ、スーダンの西隣のチャドに人びとが避難している=5月2日 © Colin Delfosse

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