海外派遣スタッフ体験談
ロヒンギャの性暴力被害に対応し、活動の重要性を実感:小島 毬奈
2018年04月27日小島 毬奈
- 職種
- 助産師
- 活動地
- バングラデシュ
- 活動期間
- 2017年11月~2018年1月

- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
前回の南スーダンの派遣を終えて、1ヵ月半ほど休養をとりました。報道でロヒンギャ難民のニュースを見て、いち早く現地に入ったMSFの活動に興味が湧き、「行きます」とオファーを了承しました。性暴力被害専門の助産師という、未経験のポジションだったのも動機の一つでした。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?
いつも通り、都内の産科クリニックでアルバイトをしていました。友達と旅行に行ったりもしました。
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか?どのような経験が役に立ちましたか?
過去2回、地中海と南スーダンで性暴力被害に対応した経験が役に立ちました。どんなところでも、災害や内戦が起こるとレイプの件数は飛躍的に上がります。8月下旬にミャンマーから大勢の難民がバングラデシュへ避難する事態が起こったことをきっかけに、レイプの相談数がかなり増え、MSFも性暴力部門の業務を拡大しました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
土~木曜日の週6日、日中勤務でした。経験豊富な現地の助産師が中心となって、性暴力被害者のカウンセリングを行います。難しいケースなどは相談しあい、中期中絶が必要なケースも多かったので、産科部門とその調整などをしていました。
ロヒンギャ難民のなかから女性のコミュニティ・ボランティアを募り、キャンプ内で性暴力被害の啓発活動をしました。性暴力被害は緊急を要することであり、いち早く治療に来て欲しいということ、また、誰にでも起こりえることであり、秘密厳守、治療は無料であることなどを女性たちに伝えます。ボランティア・スタッフの指導でキャンプに行くことも多かったです。
また、隣の産科病棟が狂ったように(!)忙しい時には、手伝うこともありました。また、新設のバルカリ難民キャンプでも性暴力部門を立ち上げるため、面接や指導、トレーニングなどを行っていました。日によって業務は変わりましたが、夕方までには仕事を切り上げて帰宅するようにしていました。
- Q現地での住居環境について教えてください。

- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。

ジフテリアやはしかなど命に直結するプロジェクトはすぐに対策が練られ、優先されます。ジブテリアの流行中はチームの注力がすべてそちらに行ってしまい、性暴力対応は後回しになっていましたが、危険な中絶で命を落とす女性がたくさんいるのを目の当たりにして、決して忘れてはいけない医療の一つであると実感しました。



現場に行くと、「マリナは静かね」と言われますが、私自身は決して静かなタイプではありません。それほど皆、よくしゃべるってことです。緊急援助だったので、仕事でアドレナリンが出ているのかもしれませんが、今回の同僚たちも、感情を表すことに躊躇(ちゅうちょ)しないストレートな性格の人ばかりで、言い合いもよく見かけました。
そのおかげで「聞く」技術が身につきました。私の部屋は、夜になると悩める同僚がよく来て、その日あった出来事をしゃべるだけしゃべって去っていくという、変なカウンセリングルームになっていました(笑)。
- Q今後の展望は?
-
通常の助産師としての分娩業務から離れても、こういった違う形での仕事があるのであれば、続けていきたいと思っています。派遣を数回繰り返すと、マネジメントなど上のポジションを目指していく人も多いですが、私は助産師でやっていこうと思っています。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
やっぱり、世界で働くのは興味深いです。そんなに大きな決断と考えず、一度トライしてみるくらいの気持ちで応募してみてもいいと思います。外国人派遣スタッフもさまざまですが、私自身、学生時代は勉強もできませんでしたし、英語も特に得意ではなく、主な資格は英検4級だけです。
それでも、日本人の平均的な我慢強さと協調性があれば、苦労はありましたが過去8回、そつなく活動を遂行できました。あれもこれもできなきゃいけない、なんてことはないので、ぜひ応募してみてください。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2017年5月~2017年9月
- 派遣国:南スーダン
- プログラム地域:ベンティウ
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2016年11月~2017年2月
- 派遣国:イタリア
- プログラム地域:シチリア島、地中海
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2015年12月~2016年1月、2016年4月~2016年9月
- 派遣国:レバノン
- プログラム地域:ベッカー高原
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2015年3月~2015年9月
- 派遣国:イラク
- プログラム地域:ドミーズ
- ポジション:助産師
- 派遣期間:2014年3月~2014年7月、2014年10月~2014年12月
- 派遣国:パキスタン
- プログラム地域:ペシャワール、ハング—
- ポジション:助産師