海外派遣スタッフ体験談
何でも吸収する気持ちで過ごし、良い結果に:西島 翔太
2018年07月17日西島 翔太
- 職種
- 産婦人科医
- 活動地
- ナイジェリア
- 活動期間
- 2018年5月
- Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?
約3年前の初回派遣後、必ず再び行くと決めていました。自分の子どもたちの学校の行事が少ない5月に行けるよう日本事務局にリクエストを出し、希望が通りました。派遣先は、前回と同じナイジェリアのジャフンでした。
- Q派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?
英語の勉強は、日々こつこつ積み上げていく筋力トレーニングのように行っていました。前回の反省を踏まえ、自分の意見を言えるようにディスカッションを中心とした英会話を習っていました。その結果、前回の活動で私の英会話力を知っていたナイジェリアの看護師から「上達したね」とお褒めの言葉を頂きました。
MSFの臨床ガイドラインを通読することは、英語の勉強に加え、診療の把握もできるため役立ちました。産科や新生児ケアに関するガイドラインは7回読みました。
- Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか?どのような経験が役に立ちましたか?
前回と同じ地域、同じ病院での活動だったので、1日の仕事の全体の流れや状況を把握できていた事は安心材料となりました。
- Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
ジャフンで特徴的な病態として、分娩時大量出血(PPH)、常位胎盤早期剥離(はくり)、なかでも播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴うケースや、子癇(しかん)及び妊娠高血圧症候群、肺水腫、胎位異常そして子宮破裂です。
妊婦さんたちは多産婦が多く、そういう人の妊娠子宮筋層はとても脆弱です。よって、出血コントロールに難渋することが多々あり、B-lynch縫合法や、子宮の栄養血管に対する段階的な止血などを行い、それでも止血できない場合は子宮摘出を行いました。
子宮破裂の症例が立て続けに3例手術室に運ばれ、その後5件の帝王切開が控えていた日は、さすがに疲弊しました。
- Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?
海外派遣スタッフの産婦人科医は2人体制で、大まかに1日おきの勤務でした。休める時は休む、食べる時間がある時は食べるよう心がけていました。仕事で忙しい時は宿舎へ戻る暇がないので、ちょうどラマダン(イスラム教の断食月)期間中でもあり、私もそれを実践しているような感覚を覚えました。
- Q現地での住居環境について教えてください。
前回同様、個室が用意されました。提供される料理もおいしくいただきました。前回よりお米を使ったメニューが増え、日本人として嬉しくなりました。
Wi-Fiの速度は相変わらず遅いですが、家族と最低限のコンタクトはほぼ毎日取れました。
ジャフンの5月の最高気温は43℃前後と暑いです。雨が比較的少なかったため、蚊やゴキブリが少なかったのが印象的でした。
- Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
- Q今後の展望は?
家庭の事情から、今後の派遣をすぐに考えるのは難しいですが、いつでも行けるような準備はしておきたいと思います。
- Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
行きたいと思っている人は、ぜひ今から行動する事をお勧めします。
海外派遣されると、スタッフは体力的にも精神的にも極限の状態で診療し、生活している事が分かります。高い使命感を持つのも大事だとは思います。ただ、今回は「現地で良いところは何でも身につけよう」「何なら英語も一緒に向上させよう」という気持ちで1ヵ月を過ごしたら、自分としても成長を感じることができました。
MSF派遣履歴
- 派遣期間:2015年8月~2015年10月
- 派遣国:ナイジェリア
- プログラム地域:ジャフン
- ポジション:産婦人科医