海外派遣スタッフ体験談

現地で生かせた財務・総務の前職経験:白根 麻衣子

2018年07月03日

白根 麻衣子

職種
アドミニストレーター
活動地
ウクライナ
活動期間
2017年8月~2018年2月

Qなぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?

人道支援に関わる仕事をしたいと思ったからです。前職のインターナショナル・スクールで、中学生向けのサマー・スクールの運営に関わっていました。生徒の中には、シリアや西サハラなどの難民キャンプ出身者や、戦争・紛争により故郷を離れなければならなかった子どもたちがいました。そうした子どもたちのために、何かしたいと思っていました。

2016年からMSF日本事務局で働き始め、総務を担当していました。事務局職員として後方支援を担ううちに、実際に現場で働いてみたいとの思いがより強くなっていたので、思い切って応募しました。

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?

派遣先が決まる前にフランスで行われたトレーニングに参加しました。そこでは、MSFの理念や憲章、さらに現場で必要な技術について、さまざまな国からの参加者と一緒に学ぶことが出来ました。日本ではフィールドで使うソフトウェアを使う練習をして、準備をしていました。

ウクライナへの派遣が決定した後は、プロジェクトについての資料を読み、派遣日まで過ごしました。

Q今までのどのような仕事をしてきましたか?どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

大学卒業後は、日本国内の銀行で3年間働いていました。ウクライナの活動ではプロジェクトに使う予算案を作ったり、日々使うお金を管理したりする必要があったので、銀行勤務時代に培った財務管理に関する知識と実務経験はとても役に立ちました。

また、現地スタッフの採用や、雇用契約の締結、不動産契約など、人事・総務に関する業務にも中心となって関わっていたので、インターナショナル・スクールでのサマー・スクール運営経験も役に立ちました。

MSF日本事務局での勤務も、MSFという組織を理解する上でとても良い経験となりました。

Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

C型肝炎の治療プロジェクトが行われている現地の様子
C型肝炎の治療プロジェクトが行われている現地の様子
 MSFはウクライナで、地元病院と協力をしてC型肝炎の治療をするプロジェクトに取り組んでいます。ウクライナはC型肝炎の患者数が世界平均と比較しても多いにも関わらず、十分な治療が患者に行き届かない現実があります。そのためMSFは、支援先の病院に登録されているC型肝炎の患者に、投薬計画に沿った治療を提供していました。

治療は地元病院のスタッフと協力して進めていきました。プロジェクトに関わっているスタッフは50人ほどで、うち外国人スタッフは6人、現地スタッフは15人でした。
私がプロジェクトに参加した時には、まだ治療は始まっておらず、薬の輸入許可等の交渉を行っている段階でした。その後、無事に治療を始めることができました。
Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

毎朝8時にオフィスに着き、必要であればチームでミーティングをしていました。8時半すぎに医療チームが病院に向かい、私を含む非医療チームはオフィスで事務仕事をします。

医療チームとミーティングが必要な際は、病院に行くこともありましたが、基本的にはオフィスで仕事をしていました。繁忙期以外は夕方6時には仕事を終えることができました。勤務時間外は、現地で使われているロシア語の勉強やヨガをして気分転換をしていました。週末は比較的きちんと休みがとれたので、街に出て買い物をしたりして過ごしました。

Q現地での住居環境について教えてください。

キッチンとバスルームつきのワンルームに住んでいました。外国人スタッフ6人が隣同士に住んでいたので、週末は一緒に料理をすることも出来ました。プライベートな場所がしっかりとあったので、ストレスも無く、とても快適に過ごすことができました。

Q活動中、印象に残っていることを教えてください。

現地で出会った仲間との交流の時間
現地で出会った仲間との交流の時間
 当初、プロジェクトの中心である治療活動がなかなか始まらず、人事・総務のマネジャーとして、他のスタッフのモチベーションをどう保つか、苦労しました。また、薬の輸入の交渉が予定よりも大幅に時間がかかり、プロジェクトが進まなかった時期も続きました。いつ始められるのかも分からず、ただ待っているという時間は、想像以上にストレスが溜まる環境でした。

だからこそ、今回の海外派遣で、チームワークの大切さを学びました。思ったようにプロジェクトが進まないときでも、チーム内で話し合いを重ね、今私たちに出来る最善は何かを
常に考えました。

実際の活動が始まるまでに、スタッフのトレーニングを実践したり、より良いチーム作りのためのワークショップを行ったりしました。時には意見がぶつかり合いながらも、徹底的に話し合うことで、信頼関係を築きながら仕事をすることができました。信頼できる仲間に出会えたことは、人生の財産になったと思います。
Q今後の展望は?

今は派遣前と同じMSF日本事務局での仕事に戻り、人事を担当しています。また機会があれば、フィールドに行きたいと思っています。次回は違った内容のプロジェクトにも参加してみたいです。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

非医療のポジションを目指している方は、自分の経験が本当に現場で役に立つのか、不安もあると思います。それは私も同じだったのですが、これまで経験した財務や組織運営の知識と実務経験を多いに役立たせることができました。興味があれば是非チャレンジしてみてください。

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