海外派遣スタッフ世界の現場から

プロジェクトの責任者として 幅広い関係者と信頼関係を築く

上西 里菜子

ポジション
プロジェクト・コーディネーター
活動地
ジンバブエ
活動期間
2019年1月~2020年12月

日本の自治体での福祉専門職員としての経験を経て、2012年からMSFの活動に参加。ヘルスプロモーターなど6度の派遣の後、プロジェクト全体を統括するプロジェクト・コーディネーターに。今回の派遣では、プロジェクト終了に伴い、活動を保健省に移管する業務をリードした。

HIVの治療環境を改善

グツに広がるとうもろこし畑  © MSF

グツに広がるとうもろこし畑  © MSF

ジンバブエのマスビンゴ州にあるグツという農村地帯に2年間駐在し、HIV/エイズと子宮頸がんの活動に携わりました。

ジンバブエではHIV感染率が高く、国境なき医師団(MSF)は長年にわたってHIV/エイズの活動に取り組んでいます。かつてグツでは、HIVの患者さんは薬を受け取るために何時間も歩いて1つの病院へ行く必要がありました。そこでMSFは、グツにある約30の医療施設のどこでも薬を受け取れるようにし、患者さんの治療環境を大きく改善させました(参考記事)。

プロジェクトが一定の成果を上げて終了の時を迎え、これからは地域の人びとの手で運営されるよう、活動を保健省に引き継ぐことになりました。今回の私の派遣における最大の役割は、プロジェクト全体を統括するプロジェクト・コーディネーターとして、引き継ぎを無事に完了させることでした。 

プロジェクトの保健省への引継ぎについて
地元のリーダーらに説明 © MSF

プロジェクトの保健省への引継ぎについて<br>
地元のリーダーらに説明 © MSF

プロジェクト終了に伴う業務は、政府との交渉や、地元の伝統的指導者への説明、活動を引き継ぐ保健省スタッフの能力強化など、多岐に渡ります。医療活動を統括する医療チームリーダーや、財務面を担う財務マネジャーらと協力し、各分野の動きがうまくハーモナイズするよう全体を取りまとめました。 

主体性を育むために

保健省と共同での活動 © MSF

保健省と共同での活動 © MSF

MSFのプロジェクトが終了するということは、現地スタッフにとっては仕事を失うことを意味します。約20人の現地スタッフをどうサポートしたらよいのか——。単に元気づけるだけではなく、次の仕事を見据えて先に進めるよう、具体的な支援をすることが大事だと考えました。

そこで、現地スタッフが今後の仕事に役立てられるよう、各自が関心のある研修をサポートする制度を特別に設けました。結果的に現地スタッフ全員がこの制度を利用して、それぞれが選んだ勉強をすることができました。

また、プロジェクトを引き継ぐ保健省スタッフの能力強化にも力を入れました。今後は彼ら自身が活動を行うので、主体性を育むことが重要です。そのために気を付けたのは、何かを決める際には、必ず保健省のスタッフの意見を求めること。最初はMSFが議論をリードしましたが、途中からは、「どう思いますか?」「次はどうすべきでしょう?」と問いを重ね、決定権を移譲していきました。

最後には保健省のスタッフたちは、自分たちが活動を行うという自信を持てたようです。 

プロジェクト運営に重要な信頼関係

プロジェクト終了のセレモニー © MSF

プロジェクト終了のセレモニー © MSF

プロジェクト・コーディネーターの仕事では、団体内外の様々な人たちといかに良い関係を築けるかが大切だと思います。私はできるだけ人と会い、直接話をすることを心がけました。

官僚的な傾向があるジンバブエでは、政府の役職者と面会の約束を取り付けることは簡単ではありません。そのような中で、「この人からの頼みだったら時間を割こう」という人間関係があるかどうかは、プロジェクトの円滑な運営のために重要です。組織と組織だけではなく、人と人としても信頼してもらうために、人間力を磨く必要があると感じました。

最後にプロジェクト終了のセレモニーを行った際、地元の市長が、MSFへの感謝とともに言ってくれた言葉が忘れられません。「プロジェクト・コーディネーターのリナコは、私たちの文化を大事にしてくれた。単に電話で済ますのではなく、いつも私たちのもとへ足を運び、話をしてくれた。地元の伝統的指導者にも敬意を払い、文化を尊重してくれて嬉しかった」。

ジンバブエは私の第二の故郷のような場所になり、離れがたい気持ちでした。 

自分の力を生かせる場所

共に働いたスタッフと © MSF

共に働いたスタッフと © MSF

私は日本では、福祉や心理学の勉強をした後、自治体の福祉専門技術職として小児精神科病院や児童相談所で5年間働いていました。その後世界中を旅した際に、外国人が誰もいないような場所でもMSFが活動しているのを見て驚いたことが、参加への関心を持ったきっかけです。

自分に何ができるのか分からないまま、ロジスティシャン(物資の調達や車両、建設などを幅広く担う)の職種で応募。すると日本事務局から、「ロジスティシャンとしては難しいが、健康教育などを担う ヘルスプロモーターの職種で経歴を生かせるのでないか」とアドバイスをもらい、参加につながりました。

MSFの活動現場で働くことに少しでも関心を持っている方は、自分にはできることがないだろうと考えず、まずは説明会などに参加して、様々な職種があることを知ってほしいと思います。 


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