海外派遣スタッフ世界の現場から

求められる柔軟な対応力 現地に合った技術を

松田 隆行

ポジション
ロジスティシャン
活動地
リビア
活動期間
2020年7月~2021年3月

自動車整備士として日本での9年間の勤務を経て、青年海外協力隊でパプアニューギニアへ。その後2019年からMSFに参加。南スーダンに続き、今回のリビアが2回目の派遣となった。

過酷な生活を送るリビアの移民

リビア・ジンタンの収容センター=2019年 <br>
© Jérôme Tubiana/MSF

リビア・ジンタンの収容センター=2019年 
© Jérôme Tubiana/MSF

アフリカから欧州を目指す難民・移民の拠点となっているリビア。石油が出ることから、仕事を求めて来る移民も多く存在します。しかし、地中海からやむなく密航船で渡欧を試みる人びとや「不法入国」と判断された人びとは、捕えられ、収容センターに入れられてしまうのです。収容センターでは医療も食料もままならず、国境なき医師団(MSF)が援助を届けています。

リビアの移民には、結核を患う人が少なくありません。今回派遣されたミスラタでは、MSFはリビア政府が運営している結核病棟を支援。10代半ばから20代の男性の患者も多く、感染していても症状が出ていない患者さんは特にエネルギーを持て余してストレスがたまっており、投薬による治療のみならず心のケアも重要な活動でした。

そして彼らを待ち受けるのが、結核の治療を終えて退院しても、その後の行き場がないという問題です。異国のリビアで、出身国のコミュニティに知り合いがいないと、住む場所がなくホームレスになってしまうこともあるのです。

そこでMSFは、行き場のない移民が一時的に過ごすためのシェルターを設置することにしました。既存の建物を改築し、18人が泊まれるシェルターに作り替えます。私はロジスティシャンとしてこの建設業務を統括しました。

あてにしていた井戸が使えない──

シェルターの建設で最も大変だったのが、水の確保です。もともと敷地内に井戸があり、ポンプも水道もあったため、その水を使う予定でした。しかし水質を調べたところ、井戸に排水が混じっていて使えないことが分かったのです。 

シェルターで使う水タンクの穴を掘る 
© MSF

シェルターで使う水タンクの穴を掘る <br>
© MSF

一般的には、井戸を浄水するための機械を導入することで解決できる問題です。しかし、機械を入手するには時間がかかり、何より、今後メンテナンスできる人がここにはいません。現地のスタッフと相談すると、リビアでは井戸水を浄水するよりも、地下に穴を掘って水のタンクを入れ、給水車で水を補給する方法が一般的だということが分かりました。工事をする人たちもこの方法に慣れており、給水車も頻繁に来るとのこと。そこで穴を掘って水のタンクを入れる方法を採用し、工事を進めることができました。

この経験で、現地の人たちの意見を聞き、それぞれの場所に合った技術や方法を選ぶことが大切だと実感しました。自分の意見を持ちながらも、そこに固執せず、柔軟に臨機応変に対応する。いろいろな人の意見を取り入れて相談し、そこから結論を見出していくことは、MSFならではの醍醐味だと思います。 

活動の成果を見届ける

シェルターの外には屋根の下で食事できるスペースも <br>
© MSF

シェルターの外には屋根の下で食事できるスペースも 
© MSF

2020年10月に着工したシェルターの工事は、無事に2021年1月に完了しました。最初にシェルターに住むことになったのは、ソマリア、マリ、ナイジェリア出身の若者たち。2人は20歳前後で、1人は27歳です。彼らは働いたお金で食材を買い、シェルターのキッチンで調理して生活しながら、今後の自立生活につなげていきます。

無事にシェルターを完成させることができ、そこで生活する人たちを見ることができたのは、とても感慨深いものでした。リビアで起こっている現実を自分の目で見て、そして支援の成果も見ることができるのでは、現場で活動するMSFだからこそです。 

カバー範囲が広いロジスティシャン

共にリビアで活動した仲間たちと(左端が本人) 
© MSF

共にリビアで活動した仲間たちと(左端が本人) <br>
© MSF

ロジスティシャンの仕事はカバーする範囲が広いので、いろいろなことを学べるのが大きな魅力です。前回南スーダンで参加したプロジェクトでは物流がメインでしたが、今回は建設がメイン。そのため新しい技術を学べました。この学びを次の活動に生かすことができます。さまざまなことに興味のある人が、ロジスティシャンに向いていると思います。

かつて日本で働いていたころは、将来のことを必要以上に気にしすぎていたこともありました。しかし、MSFに参加して思うのは、いまを精一杯生きたい、ということです。もしMSFへの参加を迷っている人がいたら、「いま自分はどうしたいのか」を考えてみてほしいと思います。そこから道が開けるはずです。 


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